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マニフェストの照合確認とは?記入方法も解説
排出事業者は、産業廃棄物の処理を他の業者に委託する際、マニフェストを交付し、業務が適切に行われたかを把握・管理する義務があります。これは、廃棄物処理法(廃掃法)に基づく重要なルールです。マニフェスト制度は、産業廃棄物の適正な処理を確保するために導入されたもので、照合確認もその一環です。
本記事では、マニフェストにおける照合確認の概要をお伝えします。
「マニフェストを交付しなければならないけど、どうしたらよいのかわからない」とお困りの方は、ぜひご参照ください。
< 目次 >
マニフェストとは
マニフェストとは、産業廃棄物の処理が適正に実施されたかどうかを確認するための書類のことです。
“産業廃棄物管理票”とも呼ばれ、排出事業者が産業廃棄物の処理を他の業者に依頼する際に交付しなければならない、と廃棄物処理法により義務付けられています。
(産業廃棄物管理票)
第十二条の三 その事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業者(中間処理業者を含む。)は、その産業廃棄物(中間処理産業廃棄物を含む。第十二条の五第一項及び第二項において同じ。)の運搬又は処分を他人に委託する場合(環境省令で定める場合を除く。)には、環境省令で定めるところにより、当該委託に係る産業廃棄物の引渡しと同時に当該産業廃棄物の運搬を受託した者(当該委託が産業廃棄物の処分のみに係るものである場合にあつては、その処分を受託した者)に対し、当該委託に係る産業廃棄物の種類及び数量、運搬又は処分を受託した者の氏名又は名称その他環境省令で定める事項を記載した産業廃棄物管理票(以下単に「管理票」という。)を交付しなければならない。
引用元:e-Gov法令検索
ここに書かれているように、マニフェストは産業廃棄物の名称や数量、収集運搬業者名などを記入し、産業廃棄物の動向を依頼主側で把握・管理するためのものです。
これにより、産業廃棄物の不適正な処理による環境汚染や不法投棄の防止につながります。
マニフェストの照合確認とは
マニフェストには、紙と電子の2種類があります。紙マニュフェストには、期限内に適正に処理されたことを確認・記録する“照合確認欄”が設けられています。
紙マニフェストは複写式で、“A票・B1票・B2票・C1票・C2票・D票・E票”の7枚綴りとなっており、それぞれ役割が異なります。
各書類の役割と動きを表にまとめましたので、ご覧ください。
マニフェストの各書類の役割と動き
最終保管者 |
書類の種類 |
役割 |
排出事業者 |
A票 |
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B2票 |
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D票 |
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E票 |
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収集運搬業者 |
B1票 |
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C2票 |
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産業廃棄物処理業者 |
C1票 |
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A票は排出事業者の手元で保管しておき、残りの書類は産業廃棄物処理の一部を担う業者に渡します。
書類を受け取った業者は、業務を終えたら必要事項を記入し、手引きに沿って各業者に書類を返送します。
排出事業者は、書類を受け取ったタイミングで、A票の照合確認欄にサインと日付を記入して、マニフェストのやり取りは終了です。
照合確認を記入しておけば、後ほど見返したとき、どのようなスケジュールで進んで、いつ終わったのかがひと目でわかるというわけです。
マニフェストの照合確認の記載期限
マニフェストの照合確認について、いつまでに書かなければいけないという期限はありません。
とはいえ、正しい手引きに従い、返送されてきたら直ちにサインと日付を記入しておくことが推奨されます。
なお、マニフェスト交付後90日(特別管理産業廃棄物は60日)以内に返送がない場合、排出事業者は産業廃棄物の処理状況を把握したうえで、適切に対応する必要があります。
その際、照合確認がしっかり記入されていれば、どの書類がいつ届いたのか、また届いていないのかをすぐに把握できます。
産業廃棄物の処理が適切に行われているか的確に把握するために、マニフェストの返送を受け取ったら、その場で照合確認欄を埋めておくことをおすすめします。
マニフェストの照合確認欄の記入方法
マニフェストには様式の定めがないため、書類ごとに照合確認欄の位置は異なります。
また、照合確認欄のない様式の書類もあるので、ご留意ください。
排出事業者のもとに書類(B2、D、E票)が返送されてきたら、控えとして保管しているA票の照合確認欄にサインとともに受け取った日付を記入します。
サインの書式も明確に決まっていないため、手書きでも印鑑でも問題ありません。
ただし、あとから確認する可能性があるため、鉛筆ではなく、油性ボールペンを使うのが望ましいでしょう。
マニフェストの照合確認欄が未記入だと違法になるのか
マニフェストの照合確認欄は、たとえ未記入だとしても違法にはなりませんので、ご安心ください。
ただし、照合確認の記入を徹底しておけば、委託した業務が完了したことを工程ごとに確認できるエビデンスになります。
マニフェストの不交付や虚偽記載、報告義務違反などに対しては罰則が設けられているため、万が一に備えて照合確認は記入しておいたほうがよいでしょう。
監査が入った場合でも、マニフェストに情報がきちんと記載されていれば、スムーズに受け答えができるます。
マニフェストの交付に関する注意点
マニフェストの照合確認がどういう作業か、ご理解いただけましたでしょうか?
以下では、マニフェストを交付する際に押さえておきたい注意点をご紹介します。
大きなトラブルに発展しかねないケースもあるので、ぜひご確認ください。
注意点①マニフェストに不備があった場合に対応を求められる
業者から返送されてきたマニフェストに不備があった場合、排出事業者は、該当の業者に訂正を依頼しなければなりません。
なぜなら、マニフェストの管理責任がすべて排出事業者にあるためです。
また、こういった事態が発生した場合、排出事業者は、状況を把握したうえで“措置内容等報告書”を作成し、都道府県知事に提出する義務があります。
措置内容等報告書は、マニフェストが返送されてきた日から30日以内に提出しなければならず、未提出の場合、行政処分が行われる可能性があります。
なお、マニフェストの訂正にあたって再交付は認められていません。
マニフェストは産業廃棄物の引き渡しと同時に交付するものであり、再交付は法令違反に該当します。
もし法定記載事項に不備があった場合は、速やかに内容の訂正を依頼しましょう。
注意点②マニフェストは5年間の保存義務がある
廃棄物処理法により、マニフェストには、一定期間の保存義務が定められています。
保存期間は書類ごとに異なり、排出事業者の保有するA票は交付日から5年間、その他のものに関しては各業者が受け取った日から5年間です。
なお、マニフェストの保管を怠った場合、罰則が科せられることがあります。
その内容は、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金と、決して軽いものではありません。
第二十七条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
五 第十二条の三第二項、第六項、第九項又は第十項の規定に違反して、管理票又はその写しを保存しなかつた者
引用元:e-Gov法令検索
万が一、マニフェストを紛失してしまった場合は、他の業者が所持しているマニフェストの写しを保管することでも代用が可能です。
注意点③マニフェストの様式に定めはない
紙マニフェストは、特定の団体が販売しているものもありますが、様式が決まっているわけではありません。
つまり、Excelやスプレッドシートなどを使用して自作した書類を使っても、なんの問題もないのです。
ただし、排出事業者で保管するA票に関しては、以下の項目を記載しておく必要があります。
【紙マニフェストのA票に記載しておくべき項目】
- ・マニフェストの交付年月日および交付番号
- ・マニフェストの交付担当者の氏名
- ・排出事業者の氏名または名称および所在地
- ・産業廃棄物を排出した事業場の名称および所在地
- ・産業廃棄物の種類
- ・産業廃棄物の数量
- ・産業廃棄物の荷姿
- ・当該産業廃棄物にかかる最終処分を行う場所の所在地
- ・運搬を受託した者の氏名または名称および所在地
- ・運搬先の事業者の名称および所在地
- ・処分を受託した者の氏名または名称および所在地
- ・処分を受託した者が産業廃棄物の積み替えまたは保管を行う場合は、当該積み替えまたは保管を行う場所の所在地
- ・石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物または水銀含有ばいじん等が含まれる場合は、その数量
法廷記載事項ではありませんが、適正処理のためにも、上記に加えて“処分方法”や“産業廃棄物の名称”、“有毒物質の有無”なども記載しておくのが望ましいとされています。
なお、マニフェストを自作する場合は、複写のためのカーボン紙を用意したり、コピーを取ったりと手間がかかることは認識しておきましょう。
また、委託する業者から市販のマニフェストの使用を求められるケースもあるため、初めから購入した物を使用したほうが安心です。
紙マニフェストから電子マニフェストへ
マニフェストは、もともと紙による交付が基本でしたが、今では電子マニフェストが一般化しつつあります。
また2020年4月1日には、一部の排出事業者に対して電子マニフェストの導入が義務付けられました。
本項では、電子マニフェストのメリットや、導入する流れをご紹介いたします。
電子マニフェストとは
電子マニフェストは、排出事業者や収集運搬業者、処分業者といった、マニフェストに関わる事業者の業務を効率化するために導入された制度です。
従来の紙マニフェストの情報を電子化し、ネットワーク上で管理することで、スムーズかつ効率的な運用を実現します。
なお電子マニフェストは、廃棄物処理法に基づき“公益財団法人日本廃棄物処理振興センター(以下、JWNET)”により、管理・運営されています。
電子マニフェストのメリット
煩雑で手間のかかる紙マニフェストに代わり、一般化してきている電子マニフェストですが、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
その内容を、以下にまとめました。
電子マニフェストのメリット
メリット |
詳細 |
間違い・作業ミスを防げる |
手書きではないため、記入漏れや間違いが起きにくい間違いを容易に修正できる |
産業廃棄物の処理情報をリアルタイムに把握できる |
|
産業廃棄物の処理に関する情報にアクセスしやすい |
|
マニフェストを保存しなくてよい |
電子マニフェストの情報はJWNETによって管理されるため、紙マニフェストのように事業者が5年間保管する必要はない |
産業廃棄物管理状況報告の手間がかからない |
紙マニフェストを使用している場合、事業者には1年ごとのマニフェスト交付についての報告義務があるが、電子マニフェストであれば、JWNETが代行してくれる |
事務作業を簡略化できる |
書類の記入や受け渡し、保管といった事務作業を省略できる |
法令順守が徹底される |
JWNETが情報を管理しているため、データの書き換えといった不正行為が発生しにくい |
環境に優しい |
ペーパーレス化が図れる |
JWNETが管理する電子マニフェストを利用するには、導入費用にくわえて、利用料金を支払わなければ使えません。
そのため、紙マニフェストを使用するより費用負担はかさんでしまいますが、それを補うほどのメリットがあります。
電子マニフェスト導入の流れ
最後に、電子マニフェストを導入する際の流れを確認しておきましょう。
【電子マニフェストを導入する流れ】
- 電子マニフェストの導入環境を整える
- JWNETへの加入単位を決める
- 料金区分を選択する
- JWNETのホームページから申し込む
- 社内で運用ルールを策定する
インターネットに接続できる環境と、JWNETが推奨する利用環境に合致したパソコンさえあれば、電子マニフェストを導入できます。
ただし、委託する業者もJWNETに加入しなければならない点には注意が必要です。
加入単位や料金区分は、申し込む排出事業者によって異なるため、詳しくはJWNETのホームページをご覧ください。
申し込み手続きが完了したら、システムを円滑に運用するためにも、誰が操作するのか、最終確認は誰がするのかなど、担当者や社内ルールを策定しておきましょう。
参照元:JWNET
マニフェストの照合確認は、産業廃棄物処理の進捗を把握するための仕組み
今回は、マニフェストの照合確認の概要や記入方法を解説しました。
マニフェストの照合確認は、産業廃棄物の処理を他の業者に依頼した際に、業務の進捗を確認するための仕組みです。
必ず書かなければならないものではありませんが、産業廃棄物の処理状況を的確に把握するために、正しい手引きに則って記入するようにしましょう。
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