産業廃棄物のリサイクル方法や取り組みを解説
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JWNETとは?導入により期待できるメリットとデメリット
「JWNETってなに?」「導入方法を教えてほしい」など、詳しく知りたい方は多いのではないでしょうか。
JWNETは電子マニフェストと深く関係するシステムです。加入により電子マニフェストの利用が可能になります。
本記事では、JWNETの概要を解説するとともに導入により期待できるメリット、導入にあたり気を付けたいデメリットなどを解説します。
< 目次 >
JWNETとは
JWNETは、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが運営する電子マニフェストシステムの通称です。
公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターは、廃棄物処理法第13条の2に基づき、環境大臣が指定した全国で唯一の情報処理センターとしてこのシステムを運営しています。
電子マニフェストを活用したい事業者はJWNETへ加入しなければなりません。
電子マニフェストとは
マニフェスト(産業廃棄物管理票)の情報を電子化して、情報処理センター(公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター)を介しネットワーク上でやり取りする仕組みです。
ここでいうやり取りには、排出事業者・収集運搬業者・処分業者が参加します。
したがって、電子マニフェストを利用するにあたり、これら3社がJWNETへ加入しなければなりません。
マニフェストは、処理を依頼した産業廃棄物が適正に収集運搬および処理されたか確認するためのものです。記録媒体は、紙と電子の2種類あります。
基本的には、産業廃棄物を収集運搬業者・処分業者へ引き渡すときに排出事業者が発行します。
発行されたマニフェストは、処分が完了するまで産業廃棄物とともに移動します。
つまり、マニフェストを活用することで、最終処分まで適切に行われたことを確認することができるのです。紙または電子のマニフェストを使用せず産業廃棄物を処理すると、処罰される恐れがあるため注意が必要です。
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JWNETでできること
できることの例として以下のものがあげられます。
マニフェストの管理
JWNETを活用してマニフェストを管理できます。
具体的には、登録・保存などの業務を行えます。例えば、排出事業者はネットワーク上で廃棄物の種類・数量などを入力するだけでマニフェストの新規登録が可能です。
フォーマットに沿って必要事項を入力するため、入力漏れが発生することはほとんどないでしょう。
新規登録を終えたら受渡確認票を印刷して、収集運搬業者へ交付します(引き渡し当日にマニフェスト登録を行う場合)。
収集運搬業者・処分業者は、受渡確認票に記載されたマニフェスト番号などをもとにマニフェスト情報を特定して各種報告(最終処分終了報告など)を行います。
登録したマニフェストが保存される仕組みになっている点もポイントです。書類の保管場所を確保する必要や紛失のリスクは基本的にありません。
集計
マニフェスト情報を紹介・抽出して集計に活用することも可能です。情報を取得する方法は「マニフェスト情報の照会」と「マニフェスト情報抽出申込み」にわかれます。
さまざまな情報をCSVファイルに保存できる点は共通していますが、両者を比較するといくつかの違いがあります。
|
マニフェスト情報の照会 |
マニフェスト情報抽出申込み |
照会対象の範囲 |
最新のマニフェスト |
前日のマニフェスト情報 |
照会可能な期間(最大) |
12カ月 |
3カ月 |
保存できるマニフェストの件数 |
1回あたり500件 |
1申込みあたり無制限 |
CSVファイルの取得にかかる時間 |
即時 |
1時間程度 |
出力項目 |
402/219/429項目他から選択 |
利用者指定 |
※2023年5月時点
出典元:JWNET「よくあるご質問:マニフェスト情報抽出申込みとは何ですか。」
目的にあわせて使いわければ、さまざまな情報を集計に活用できるでしょう。
コンプライアンス強化
導入により、コンプライアンス面の強化も期待できます。排出事業者・収集運搬業者・処分業者がマニフェスト番号などをもとにネットワーク上でマニフェストを確認できるようになるからです。
3社が現在の状況を確認できるため、不適正な処分などを抑止しやすくなります。
ちなみに、廃棄物処理の責任は排出事業者にあります。収集運搬業者・処分業者が万が一不適正な処理を行った場合も、排出事業者は責任を問われる恐れがあるため注意が必要です。
コンプライアンス面の強化は、想定外のトラブル予防に役立ちます。
JWNETでできないこと
さまざまな機能を備えるJWNETですが万能ではありません。できないことの例として以下のものがあげられます。
許可証の管理
JWNETは、収集運搬業者・処分業者が登録した産業廃棄物処理業許可情報を閲覧できる機能を搭載しています。
排出事業者は収集運搬業者・処分業者が登録した許可情報を確認できます。
ただし、許可情報のもとになる許可証には有効期限があります。紙・電子を問わず更新が必要です。JWNETに許可証の期限を管理する機能はありません。委託先の有効期限を、必要に応じて確認しなければなりません。
契約書の管理
公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(以下、情報処理センター)は、電子マニフェストの利用を促進するため、関連業務として電子契約書の保管・閲覧サービスなどを提供しています。
異なるASPで登録した電子契約書を一元管理できる点、長期にわたり電子契約書を保管できる点が魅力です。
ただし、契約期限や許可証との整合性などは自社で管理しなければなりません。
また、利用にあたり情報処理センターへの申請が必要です。
JWNETに登録していない業者の検索
JWNETを利用して収集運搬業者や処分業者を検索できます。
具体的には、「加入者名」「許可番号」「許可主体:都道府県・政令市」「優良認定有無」などをもとに検索できます。
検索の対象は、同システムに登録している事業者です。
つまり、電子マニフェストを使用していない事業者は検索できません。あらゆる事業者を検索できるわけではない点に注意が必要です。
JWNETを導入するメリット
JWNETの導入には、さまざまなメリットがあります。主なメリットは次の通りです。
メリット①入力操作や確認作業が簡単
JWNETを導入すると、マニュフェストの作成が簡単になります。
同じ内容を何度も手書きする必要がなくなるうえ、入力操作も簡単だからです。確認作業をネットワーク上で行える点も見逃せません。
各種報告の有無を一覧表またはメールで確認できます。
収集運搬業者・処分業者への問い合わせが不要になります。
確認期限が迫ると注意喚起してくれる点もポイントです。「うっかり」を防ぎやすくなるでしょう。
以上のメリットがあるため、マニフェストにかかる事務処理の手間を大幅に削減できる可能性があります。
メリット②データの入力漏れを防止できる
法律で定められた項目を、JWNETはシステムで管理しています。
必須項目を満たしていないと手続きを進められないため、JWNETに従い操作するだけで入力漏れを防げます。勘違いなどによるミスを防ぎやすくなる点も魅力です。
メリット③保管場所と報告作業が不要である
電子マニフェストを利用するため、紙マニフェストの保管場所が不要になります。
事務所などのスペースを有効活用できるでしょう。
また、電子マニフェストを利用したものに関しては、排出事業者によるマニフェスト交付等状況報告書の提出が不要になります。
情報処理センターが都道府県などに報告を行ってくれるからです。
JWNETを導入するデメリット
JWNETの導入にはデメリットもあります。主なデメリットは以下の2つです。
デメリット①基本料金が必要になる
マニフェストの年間登録件数に応じた基本料金と使用料がかかります。各事業者の条件は次の通りです。
【排出事業者】
区分 |
A料金 |
B料金 |
C料金(団体加入料金) |
目安の登録件数/年 |
2,401件以上 |
2,400件以下 |
∸ |
基本料金/年 |
24,600円 |
1,980円 |
110円 |
使用料/件 |
11円 |
・90件まで無料 ・91件以降22円 |
・5件まで無料 ・6件以降22円 |
【収集運搬業者】
区分 |
収集運搬業者 |
基本料金/年 |
13,200円 |
【処分業者】
区分 |
処分報告機能のみ |
A料金(処分報告機能+2次登録機能) |
B料金(処分報告機能+2次登録機能) |
目安の登録件数/年 |
∸ |
1,381件以上 |
1,380件以下 |
基本料金/年 |
13,200円 |
26,400円 |
13,200円 |
使用料/件 |
∸ |
11円 |
・90件まで無料 ・91件以降22円 |
※2023年5月時点
出典元:JWNET「利用料金」
一定の費用がかかる点には注意が必要です。
デメリット②パソコンがないと導入できない
導入にあたり、インターネットに接続しているパソコンを求められます。
スマートフォン・タブレットからでもログイン、一部機能の利用は可能です。
具体的には、マニフェスト情報の登録・運搬終了報告・処分終了報告などの操作を行えます。
JWNETを導入する際の流れ
導入の基本的な流れは以下の通りです。
ステップ1:準備
インターネットに接続しているパソコンを用意します。
併せて、収集運搬業者・処分業者が電子マニフェストを使用していることを確認します。
排出事業者・収集運搬業者・処分業者が電子マニフェストを使用しなければならないからです。
ステップ2:加入単位・料金区分を決定
加入単位は次の通りです。
- ・排出事業者:任意
- ・収集運搬業者:業者単位
- ・処分業者:処分事業場単位
料金区分も、排出事業者・収集運搬業者・処分業者で異なります。詳しくは「デメリット①基本料金が必要になる」をご確認ください。
ステップ3:運用方法を検討
排出事業者・収集運搬業者・処分業者で、運用に関するルールを決定します。
具体的には、マニフェストを登録するタイミング、受渡確認票の運用方法などについて検討が必要です。
ステップ4:加入手続き
以上を終えてから、加入手続きを進めます。
必要な情報はケースで異なりますが、加入区分・会社名・住所などの登録が必要です。
JWNETを導入する際に注意すべき点
JWNETを導入するときは次の点に気を付けましょう。
導入から稼働までの期間
JWNETを稼働できるのは、申し込み手続きが完了して加入契約が成立してからです。
通常は、お申込み当日から利用を開始できます。
ただし、21時以降に申し込むと、翌日からの利用になります。すぐに利用したい場合は、申し込みのタイミングに注意が必要です。
委託先企業の加入状況
電子マニフェストの利用条件は、排出事業者・収集運搬事業者・処理業者がJWNETへ加入していることです。
いずれかが加入していないと電子マニフェストを利用できません。
準備段階で、委託先企業の加入状況を確認しておく必要があります。
現在の環境を踏まえてJWNETの導入を検討しましょう
本記事では、JWNETの概要とJWNETを導入するメリット・デメリットなどを解説しました。
JWNETは電子マニフェストシステムです。
導入により、事務処理の手間を省ける、紙マニフェストの保管場所が不要になるなどのメリットがあります。
ただし、基本料金と使用料がかかります。
また、排出事業者・収集運搬業者・処理業者の加入が必要です。
メリットに魅力を感じる場合は、現在の環境を踏まえて導入手続きを進めてみてはいかがでしょうか。
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