無害化処理認定制度とは?認定要件や認定の流れ
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産業廃棄物の処理責任は誰にある?処理を委託する際の注意点
企業の事務所や工場・建設現場などでは、事業活動により日々何らかの産業廃棄物が生じています。
産業廃棄物は一般的なゴミと異なり、法律に定められた手順で処理しなければなりません。
そこで問題となるのが、産業廃棄物の処理責任です。
本記事では、産業廃棄物に係る責任の所在や、排出事業者が処理を委託する際に注意すべきポイントを解説します。
産業廃棄物の処理委託にお悩みの方、委託の方法を知りたい排出事業者の方は、ぜひ参考にしてください。
また、産業廃棄物の処理に従事する処理業者の方も、責任の所在を再確認し排出事業者へ適切な案内をするための参考としてお読みください。
< 目次 >
産業廃棄物を取り扱う責任は誰にある?
産業廃棄物とは、燃え殻や汚泥・廃油・廃プラスチック類・ゴムくず・金属くず・木くずなど法で指定された20種類の廃棄物のことです。
中でも、爆発性・毒性・感染性・他人の健康や生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性質を持つ廃棄物は、特別管理産業廃棄物と呼ばれます。
産業廃棄物はたとえ量が少なかったとしても、最後まで適切な方法で処理されなくてはなりません。
特に、特別管理産業廃棄物の扱いには、細心の注意が求められます。
では、産業廃棄物を処理する責任は誰にあるのでしょうか。
廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)では、事業者の責務を以下のように規定しています。
第三条 事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。
第十一条 事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。
つまり、産業廃棄物は排出した事業者が、自ら責任をもって処理しなくてはなりません。
しかしながら、産業廃棄物の処理を自社で行える事業者は少なく、外部の業者へ処理を委託することが一般的です。
このように、処理を委託するケースであっても、最終的な処理責任は委託する排出事業者であることには変わりありません。
廃棄物処理法第十二条の七項では、委託について以下のように規定しています。
事業者は、前二項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、当該産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
つまり、排出事業者は産業廃棄物の運搬・処分の委託先で、最後まで正しい処理がなされているかを把握し、必要に応じて措置を講じなければなりません。
排出事業者が産業廃棄物を適切に扱わないと、行政指導や処分・刑事罰の対象となるため、ルールを理解した上での正しい行動が欠かせません。
処理を委託する際に注意するポイント
産業廃棄物の処理を外部に委託する際に、注意すべきポイントがいくつかあります。
ここでは、委託時のポイントを見ていきましょう。
委託先の業者が自治体から許可されているかを確かめる
産業廃棄物の収集運搬・処分業務は、誰でも行えるわけではありません。
収集運搬や処分を業とするためには、管轄する都道府県・政令都市などの自治体による許可が必要不可欠です。
また、各業者によって取り扱える産業廃棄物の種類が異なります。
自治体の許可無く産業廃棄物の収集運搬・処分や許可範囲外の処理を行うと、当事者だけでなく委託した排出事業者も違反と見なされ罰せられます。
委託先の業者が(特別管理)産業廃棄物収集運搬業許可証や(特別管理)産業廃棄物処分業許可証を所持しているか、対象となる産業廃棄物が事業範囲に含まれているかを、契約前にきちんと確かめましょう。
優良産廃処理業者の認定を受けているかを参考にする
通常の許可基準よりも厳しい許可基準に適合する処理業者を認める「優良産廃業者認定制度」というものが存在します。
優良産廃業者と認められると、許可証に「優良」の文字が付与されたり、融資における優遇を受けられたりと処理業者にとってメリットが大きい制度です。
優良産廃処理業者は、遵法性や事業の透明性・環境配慮への取り組み・電子マニフェスト・財務体質の安全性が認められているため、排出事業者が安心して委託するための指標にすることができます。
優良産廃処理業者に関する情報は、「優良さんぱいナビ」や「さんぱいくん」を通して取得できます。
ただし、認定を受けていない業者であっても、法令に則り適切に業務を行っている業者は多くいます。
優良産廃処理業者であるかどうかは、あくまでも委託先業者を選ぶ際の参考程度に考えておきましょう。
こちらの記事でも優良産廃処理業者について詳しく解説しております。
【関連記事】
優良産廃処理業者認定制度のメリット
必ず委託契約書を作成する
産業廃棄物の処理を委託する際は、必ず委託契約書を作成しましょう。
委託契約は収集運搬業者・処分業者のそれぞれと締結するものです。
契約書の作成においても、二者間でそれぞれ締結することが望ましいでしょう。
委託契約書には、産業廃棄物の種類や量・処理施設の所在地や契約の有効期限・委託者が受託者に支払う料金など、法定記載項目を盛り込まなくてはなりません。
さらに、委託業者の許可証の写しや認定証の写しなど、書面の添付も必要です。
委託契約書の無い契約は、トラブルの発生を招いたり、罰則の対象となったりする恐れがあります。
契約内容に基づき、記載事項や必要書面の漏れが無い有効な契約書を必ず準備しましょう。
また、排出事業者は契約の終了日から5年間、契約書の保管が義務付けられています。
紛失しないように管理体制を整えておくことも大切です。
最近では、電子契約によって保管場所や契約書を探す手間を削減し、業務効率化やコスト削減を進める企業も増えています。
ここ数年で、国内での電子契約に対する意識が変わってきており、以前よりも導入しやすくなっています。
マニフェストを作成する
マニフェストとは、産業廃棄物の収集運搬・中間処分・最終処分などを委託する際に、排出事業者が発行する伝票です。
マニフェストは、処理の流れに沿って業者から業者の手へと渡り、最終的には排出事業者へと返されます。
処理の各フェーズで記録を残すことで、産業廃棄物が問題なく処理されたかを確認できます。
マニフェストの作成は、不法投棄を防止するために義務付けられています。
また、発行したマニフェストは、5年間の保管が必須です。
マニフェストに関する規定に従わなかった場合、廃棄物処理法違反で刑事罰の対象になることもあります。
【関連記事】
マニフェストの保管期間と保管方法
従来、指定の用紙を利用した紙マニフェストが主流でしたが、近年では交付から保存までシステム上で管理する電子マニフェストが普及しています。
電子マニフェストは、業務の効率化やミスの削減効果が期待できます。
また、保管場所の削減にも有効です。
【関連記事】
電子マニフェストとは?メリット・デメリット
産業廃棄物の取り扱いには最後まで責任を持とう
いかがでしたでしょうか。
今回は産業廃棄物に係る責任の所在や、処理を委託する際に注意するポイントを解説しました。
産業廃棄物の処理については法律で厳格に定められており、複雑な内容も多いです。
産業廃棄物を扱う際は、ルールや基準をしっかり把握し、慎重に行動し適切な処理を心がけましょう。
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