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産業廃棄物処理業界が脱炭素化に取り組む上で押さえておくべきポイント

本記事では、産業廃棄物処理業界が脱炭素化に取り組上でさえておきたいポイントを紹介します。

 

産業廃棄物処理業では廃棄物を運搬処分するにあたり、現状ではCO2の排出をゼロにすることは困難です。
しかし、CO2を含む温室効果ガスは地球の温暖化を招く大きな原因になります。
そのため、脱炭素化の取り組みに注目していく必要があります

 

産廃処理業界で働く方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

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脱炭素とは

 

 

脱炭素とは、CO2(二酸化炭素)排出量をゼロにすることです。

現在、地球温暖化が進行しており、海面上昇や生態系への影響が懸念されています。 

この地球温暖化を招いている大きな原因が、CO2の増加です。 

 

日本は海に囲まれた島国である以上、海面上昇の影響を大きく受けることが予想されます。
こういった問題の解決のためにも、脱炭素化に取り組んでいかなければなりません。

 

脱炭素と混同されやすいものに「カーボンニュートラル」があります。
どちらもCO2の排出を減らすことを目的としたものです。
脱炭素はCO2の排出を減らし、ゼロにすることを目標としています。

 

これに対しカーボンニュートラルは、排出したCO2を吸収したり除去したりすることにより実質ゼロを目指す考え方です。
つまり、カーボンニュートラルはCO2の排出量が同じであっても吸収・除去の能力がアップすれば実現できることになります。

 

しかしCO2排出量を減らすことなく実質ゼロにすることは難し、いずれにしてもCO2の排出を抑える取り組みが必要です。 

 

産業廃棄物処理における脱炭素(カーボンニュートラル)の指針と課題

 

産業廃棄物処理において、脱炭素やカーボンニュートラルに向けた取り組みを行っていく必要があります。
そのためには、進めに関するシナリオと、日本現状について理解しておくことが重要です。 

それぞれ解説します。

 

シナリオ

 

脱炭素やカーボンニュートラルの必要性が騒がれているのは、日本だけではありません。
世界的な問題ということもあり、各国でさまざまな取り組み行われています

 

例えば、米国では2030年までに温室効果ガスの排出量を2005年比で50~52%削減することを目指しており、2022年8月には気候変動対策を盛り込んだインフレ削減法を成立させました。
EUでは脱炭素社会を実現するために官民あわせて10年間で1兆ユーロ相当の投資の動員を目指しています。
英国でも2021年に260億ポンドの設備投資を行うなど、各国でさまざまの形で脱炭素化に取り組んでいる状況です。(※1)

 

同様に、日本でも2050年カーボンニュートラルの実現に向け、さまざまな検討や取り組みを行っています。
例えば、脱炭素事業への新たな出資制度や地球温暖化対策計画等の見直し、脱炭素経営へのなどです。(※2)

 

また、環境省が発表した令和3年度廃棄物・資源循環分野における2050年温室効果ガス排出実質ゼロに向けた中長期シナリオ検討業務報告書では、以下の3つを中長期シナリオの実現に向けた方策の検討として重点対策領域として定めています。(※3)

 

【重点対策領域】

  • ・資源循環を通じた素材毎のライフサイクル全体の脱炭素化
  • ・地域の脱炭素化に貢献する廃棄物処理システムの構築
  • ・廃棄物処理施設・車両等の脱炭素化

 

 

(※1)参考:経済産業省資源エネルギー庁:第1節 脱炭素社会への移行に向けた世界の動向

(※2)参考:脱炭素ポータル:2050年カーボンニュートラルの実現に向けた国の検討と具体的な取組を紹介します

(※3)参考:(PDF)パシフィックコンサルタンツ株式会社:令和3年度廃棄物・資源循環分野における 2050 年温室効果ガス排出実質ゼロに向けた 中⻑期シナリオ検討業務 報告書[PDF]

 

日本現状 

 

環境省によると、令和4年度実績値の産業廃棄物量は全体で3億7021.8万トンでした。
業種の中で特に排出量が多いのは以下の5つです。(※4)

 

【排出量の多い業種】

  • ・電気・ガス・熱供給・水道業:8,288.1万トン
  • ・農業・林業:8,288.1万トン
  • ・建設業:8,017.9万トン
  • ・パルプ・紙・紙加工品製造業:2,741.1万トン
  • ・鉄鋼業:1,951.9万トン

 

また、産業廃棄物の種類別排出量をみてみると、多い順から汚泥、動物のふん尿、がれき類となっており、これら3つで全体の81%を占めています。
これらは廃棄物発電の燃料として活用することでCO2排出量の削減が可能です。

 

しかし、そのための廃棄物発電設備導入には莫大な費用・時間がかかります。
そのため、なかなか設備の導入が進んでいないのは大きな課題といえるでしょう。

 

(※4)参考:(PDF)環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課:令和5年度事業産業廃棄物排出・処理状況調査報告書令和4年度速報値(概要版)[PDF]

 

廃棄物焼却時に排出される温室効果ガスと内訳

 

環境省によると、2019年度の廃棄物焼却時に排出される温室効果ガスと内訳は以下の通りとなっています。

 

【内訳(単位ktCO2)】

  • ・廃プラスチック:14,654
  • ・廃油:9,761
  • ・紙くず:1,192
  • ・廃紙おむつ:688
  • ・合成繊維くず:1,208
  • ・RDF・RPF(固形燃料):1,819
  • ・廃タイヤ:973
  • ・その他:1

 

上記のうち、廃プラスチックと廃油で全体の約4/5を占める形となりました。

 

最も多い廃プラスチックのうち、一般廃棄物由来は約680万トンCO2で約46%、産業廃棄物由来は約730万トンCO2で約50%です。
いずれも焼却に伴うCO2排出が最も多い結果となりました。

 

廃プラスチック・廃油が廃棄物焼却時に排出される温室効果ガスの大部分を占めていることもあり、脱炭素化のためにはこれらの改善に向けた対策に力を入れることが求められます。

 

参考:(PDF)パシフィックコンサルタンツ株式会社:令和3年度廃棄物・資源循環分野における 2050 年温室効果ガス排出実質ゼロに向けた 中⻑期シナリオ検討業務 報告書[PDF]

 

産業廃棄物処理において脱炭素を推進する手立て

 

 

業廃棄物処理において脱炭素を推進していくためには、資源化を推進することや処理業務の効率化が求められます。
それぞれ解説します。

 

➀最終処分ではなく資源化の推進

 

各種産業廃棄物の排出を抑制することはもちろん重要ではありますが、これらを最終処分するのではなく、資源化していくことに力を入れる必要があります。
資源化のために処理して運ぶのは最終処分と同じといえますが、製造から廃棄までのライフサイクルで見ると、CO2削減に寄与できる方法です。

 

②新設備導入による処理業務の効率化

 

処理量当たりのCO2排出量を削減するのに役立つのが、省エネ駆動の設備の導入です。
導入時には費用がかかってしまう問題がありますが、将来的なCO2排出量の削減を考えると、ぜひとも検討したいところです
また、自ら熱回収が可能な高効率の設備を導入するのも効果的です。

 

特に古い設備を使用している場合は省エネ性能も低く老朽化によりCO2排出量が増えてしまっている可能性も考えられます。 
補助金が利用できる可能性もあるので、自社のケースで活用可能なものがないか調べてみてはいかがでしょうか。

 

できる取り組みから実行していくことが大切

 

いかがだったでしょうか。
業廃棄物処理業界が検討していく必要のある脱炭素化について紹介しました。

 

業廃棄処理業界においても、CO2の排出量を削減することが求められています。 

削減にむけ自社でできる取り組みは何かを考え、実行していくことが大切といえるでしょう

 

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