産業廃棄物を過積載した際の責任の所在は?過積載が起こる原因と対策
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人手不足の原因と人手不足の解消を目指せる8つの対策
さまざまなメディアで指摘されている通り、日本国内では幅広い業界で人手不足が深刻化しています。
産業廃棄物処理業界も例外ではありません。
現状を放置していると、ビジネスモデルに破綻が生じて経営悪化につながる恐れがあります。
重大な課題と捉えて対策を講じていく必要があるといえるでしょう。
本記事では、人手不足が生じる主な原因と具体的な解消方法を解説しています。
人材確保や人材定着に興味がある方はぜひ参考にしてください。
< 目次 >
人手不足の原因
近年になって、さまざまな業界で人手不足が指摘されています。
どのような原因で人手不足が引き起こされているのでしょうか。
日本の労働人口の減少(少子高齢化)
人手不足の背景にあるのが、少子高齢化で進んでいる生産年齢人口(15~64歳の人口)の減少です。
内閣府が発表している「令和5年版高齢社会白書」によると、日本の生産年齢人口は1995年の8,716万人をピークに減少を続け、2022年には7,421万人となっています。労働需要に労働供給が追い付けないため、さまざまな業界で人手不足が引き起こされているのです。
ちなみに、同資料によると、2050年における生産年齢人口は5,540万人と予想されています。
人手不足は、より深刻化する恐れがあります。
雇用形態と働き方の多様化(転職市場の活性化)
雇用形態の変化、あるいは働き方に対する価値観の変化も人手不足に影響を与えていると考えられています。
ひとつの会社で定年まで働き続ける前提が崩れつつあるからです。
厚生労働省が発表している「令和2年転職者実態調査の概況」によると、令和2年10月1日時点における転職者の勤め先の通算勤務期間は、「2年以上5年未満が26.9%」、「10年以上が19.7%」、「5年以上10年未満が17.7%」となっています。
転職者の多くが5年未満に転職していることがわかります。
転職理由で最も多いのは自己都合です。
自己都合の中で最も割合が高いのは28.2%の「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」、次に割合が高いのは26.0%の「満足のいく仕事でなかったから」、次に割合が高いのは23.8%の「賃金が低かったから」です。
より良い環境・より良い条件を求めて、積極的に転職していることがうかがえます。
新規の人材獲得が難しい
人手不足に悩まされている事業者が、無策で過ごしているわけではありません。
多くの事業者は採用活動を展開していますが、新規人材の採用は難しいようです。
厚生労働省の発表によると、令和5年10月時点における有効求人倍率は1.30倍、10月のみの倍率を示す新規求人倍率は2.24倍です。
多少の変動はあるものの、平成25年(2013年)あたりから求職者に対する求人数が上まわりはじめ、現在は1.30倍程度で推移しています。
このように、近年は求職者による売り手市場であり採用企業間による競争が激しいため、新規の人材獲得が難しくなっているのです。
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年10月分)について」
顧客ニーズの多様化に伴う業務の複雑化や高度化
社会の変化に伴い顧客のニーズが多様化していることも人手不足を後押しする要因となっています。
顧客のニーズに対応するため、業務が複雑化・高度化しているためです。
業務に対応できる人材が限られることで、採用活動の難易度が高まっています。
業務によっては、人員さえ確保すればよいという時代ではなくなっています。
企業と求職者とのミスマッチ
企業と求職者のニーズが異なるミスマッチも人手不足に大きな影響を与えています。
厚生労働省が発表している「一般職業紹介状況(令和5年10月分)について」で、職業により有効求人倍率に大きな差があることが示されています。
参考にいくつかの例を紹介します。
職業 |
有効求人倍率(パート含む) |
建築・土木・測量技術者 |
5.80 |
医療技術者 |
3.08 |
介護サービス職業従事者 |
4.02 |
建設躯体工事従事者 |
9.12 |
製造技術者(開発を除く) |
0.76 |
一般事務従事者 |
0.35 |
会計事務従事者 |
0.69 |
機械組立設備制御・監視従事者 |
0.83 |
出典:厚生労働省「参考統計表」
人手不足の職業とそうでない職業がはっきりとわかれています。
特定の職業では、新規人材の確保が非常に難しくなっているといえるでしょう。
人手不足が深刻化している業界
人手不足の程度は業界により異なります。特に次の業界は深刻と考えられています。
【業界】
- ・旅館・ホテル業界
- ・情報サービス業界
- ・建設業界
出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2023年10月)」
帝国データバンクが発表している資料によると、2023年10月時点における旅館・ホテル業界の人手不足割合(正社員)は75.6%です。
円安と新型コロナウイルス感染症の5類移行による海外からの観光需要増大が影響しています。
同資料によると、情報サービスの人手不足割合は72.9%、建設業界の人手不足割合は69.5%です。
前者は慢性的な技術者不足など、後者は職人の高齢化などが影響していると考えられています。
人手不足が企業に与える影響
人手不足は企業経営に深刻な影響を与える恐れがあります。
特に注意したいのが労働環境悪化です。
具体的には、長時間労働や休日出勤の常態化が考えられます。
労働環境が悪化すると、従業員のモチベーションは低下するため、離職のリスクが高まります。
離職者が出たまま人材を補充できないと、労働環境はさらに悪化します。
このループにより、サービスを提供できなくなり最終的には倒産することもあります。
帝国データバンクが発表している資料によると、2023年1~10月における人手不足を要因とする倒産は206件です。
これは早急に対処するべき問題と考えられます。
出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2023年10月)」
人手不足を解消する方法
事業者が検討したい人手不足を解消する対策は次の通りです。
外部のリソースを活用する
人員の確保が難しい場合は、業務の一部を外部に委託するアウトソーシングを活用するとよいでしょう。
アウトソーシングの魅力は、必要な業務を必要な期間だけ専門家に委託できることです。
社内の限られたリソースを、コア業務に振り分けられる点も見逃せません。
自社で人材を確保したい場合は、人材採用サービスの活用が考えられます。
専門家のサポートを受けながら採用活動を展開できるため、採用活動の負担を減らしつつ優秀な人材を確保できる可能性があります。
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DX化を促進する
DX化の推進も有効な対策です。
具体的な施策はさまざまですが、人手不足を解消できる可能性があります。
例えば、業務の自動化によりコア業務に注力できる環境をつくる、テレワーク環境の構築により働き方の柔軟性を高めるなどが考えられるでしょう。
従業員がやりがいを見出せるようになったり、これまで採用できなかった人材を採用できるようになったりすることで、状況を改善できる可能性があります。
業務効率化を図る
業務効率化も積極的に取り組みたい対策といえるでしょう。
業務量を減らせれば、新たに人員を確保する必要がなくなるためです。
具体的な取り組みとして、業務プロセスの見直しがあげられます。
待ち時間など、当たり前と考えてきたムダをなくすことで業務の効率化を図れます。
マルチスキルを有する従業員の育成と配置も効果的です。新たに人員を確保できないときに検討したい対策といえるでしょう。
待遇を見直す
給与や福利厚生等、待遇の見直しも欠かせません。
従業員あるいは求職者のニーズと合致していないと、離職を招いたり応募者を集められなかったりするためです。
給与水準が高いことに越したことはありませんが、昇給基準・制度を設けられていることも重要なポイントです。
従業員の努力が反映される明確な基準があるということはモチベーション維持に役立ちます。
また、福利厚生の充実も検討したい対策です。
具体的には、長期勤続のインセンティブを設ける、家賃補助を拡充して働きやすい環境を整備する、入学祝金制度を導入して子育て世帯の採用を強化するなどが考えられます。
勤務年数や世代に合わせた内容を用意することが重要です。
職場環境を改善する
職場環境の見直しと改善も必要な対策と考えられます。
厚生労働省が発表している「-令和4年雇用動向調査結果の概況-」で、前職を辞めた理由として「その他の個人的理由」を除くと、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が最も多い9.1%、次に「職場の人間関係が好ましくなかった」が多く8.3%と回答しているためです。
労働時間、休日等の労働条件については、前述のアウトソーシングやDX化等をうまく取り入れることで、残業の削減、休日の確保が見込まれます。
職場の人間関係については、フリーアドレスによる席の導入やイベントの開催によるコミュニケーション機会の創出。
また、ハラスメントに対する研修の実施や相談窓口の設置等が企業として取り組めることではないでしょうか。
多様な人材を採用する
求める人物像を見直すことで、新たな人材を確保できる可能性があります。
これまで見落としていた人材が選考対象に加わるためです。
例えば、豊富な経験と知識を有するシニア人材を選考対象に加えるなどが考えられます。職務内容や労働環境の見直しを並行して進めると、多様な人材を採用しやすくなります。
採用のミスマッチを減らす
採用ミスマッチをできるだけ減らすことも重要です。
採用ミスマッチは、採用企業と求職者間で生じる認識のズレを意味します。早期退職の原因になるため注意が必要です。
採用ミスマッチは、企業からの説明が不足していたり、企業がよい説明しかしていなかったりすると起こります。インターン制度やカジュアル面談を採用プロセスに導入すると防ぎやすくなります。
産業廃棄物処理業界における人手不足の解消法
産業廃棄物処理業界も人手不足が慢性化している業界のひとつです。
職場環境の改善ならびに、ITシステムの導入により業務を改善し、従業員の定着率を高める取り組みも進められています。
環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課が令和2年に発表した資料によると、人材確保に関する調査に参加した事業者の8割以上が何かしらのIT技術を導入しています。
具体的な取り組みは以下の通りです。
【導入済みのIT技術(300社中)】
- ・電子マニフェスト:276社
- ・遠隔カメラによる場内の監視:162社
- ・電子契約:83社
- ・センサーによる異常検知:78社
- ・自動トラックスケール導入による計測(省人化):38社
- ・画像認識カメラによる車両管理:33社
一部の事業者はAIによる配車、GPSによる運行管理なども行っています。
人手不足に悩まされている産業廃棄物処理事業者は、これらの対策を検討するとよいでしょう。
出典:環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課「令和2年度産業廃棄物処理業における多様な人材の確保に関する調査結果概要」
自社に適した取り組みで人手不足を解消
本記事では、人手不足の原因と解消方法について解説しました。
主な原因として、生産年齢人口の減少と雇用形態や価値観の変化があげられます。
主な対策は、労働環境・労働条件の見直し、IT技術の活用などによる業務の効率化などといえます。自社の課題にあわせて対策を検討することが重要です。この記事を参考に、人手不足の解消を図ってみてはいかがでしょうか。
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