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シェアリングエコノミーとは|5つの領域、メリットと具体的な事例

2024/05/15

2024/6/5

 

さまざまなサービスが登場していることからわかるとおり、シェアリングエコノミーが大きな注目を集めています。

シェアリングエコノミーは、資源を循環利用することで価値を生み続けるサーキュラーエコノミーの一類型です。

具体的に、どのようなものを指すのでしょうか。

 

ここでは、シェアリングエコノミーの概要、領域、メリットを解説するとともに、シェアリングエコノミーが普及した背景や具体的な事例などを紹介しています。

自社のビジネスに生かしたい方は、参考にしてください。

シェアリングエコノミーについて

 

シェアリングエコノミーは、インターネットを介して活用できる資産をシェアする新しい経済の在り方です。

 

ここでいう資産には、モノ、場所だけでなくスキルなども含まれます。さまざまな資産を含む点、シェアする資産が広がっている点がポイントといえるでしょう。シェアリングエコノミーの代表例として、会員が自動車を共有するカーシェア、住宅を利用者に貸し出す民泊などがあげられます。

シェアリングエコノミーの特徴は個人間の取引(CtoC)が多いことです。もちろん、企業と個人(BtoC)、企業と企業(BtoB)の取引もありますが、中心は個人と個人の取引といえるでしょう。

 

このようなサービスに関わる企業の主な役割はプラットフォームの提供です。見知らぬ個人が安心して、かつ便利に取引できるようにします。たとえば、フリマアプリであれば、不用品を売りたい人と必要なものを買いたい人をつなぐプラットフォームを提供します。

シェアリングエコノミーにおける5つの領域

現在のところ、シェアリングエコノミー(シェアサービス)は次の5つに分類されます。


【5つの領域】

  • モノのシェア
  • 空間のシェア
  • 移動のシェア
  • スキルのシェア
  • お金のシェア

 

モノのシェア

モノのシェアは、使わないものなどをシェアするサービスです。
具体例として、オークションアプリ、レンタルサービスなどがあげられます。
シェアするモノで、総合タイプ、衣料品タイプ、食料品タイプなどに分類することもできます。

 

空間のシェア

空間のシェアは、使っていない場所や住宅などをシェアするサービスです。
具体例として、民泊、シェアハウス、駐車場、貸倉庫、貸し会議室などがあげられます。地域課題の解決につながるサービスとしても注目を集めています。

 

移動のシェア

移動のシェアは、自動車や自転車などをシェアするサービスです。
具体例として、カーシェア、バイクシェア、サイクルシェアがあげられます。最近では、キックボードや船などのシェアも始まっています。

スキルのシェア

スキルのシェアは、技能や特技、労働力をシェアするサービスです。
具体例として、家事代行、家庭教師、クラウドソーシングなどがあげられます。さまざまな分野でスキルのシェアが進んでいます。ビジネス系、生活サポート系などに分類することも可能です。

 

お金のシェア

お金のシェアは、資金を出しあって目標を達成するサービスです。
具体例として、クラウドファンディングがあげられます。クラウドファンディングは、インターネット経由で複数の支援者から少しずつ資金を調達する取り組みです。

 

シェアリングエコノミーの領域は、今後も拡大すると予想されています。5つの領域から6つの領域、7つの領域へと広がっていく可能性があります。

シェアリングエコノミーの市場規模とは

 

2022年度におけるシェアリングエコノミーの市場規模は2兆6,158億円です。

市場規模は次のように定義されています。


対象とするサービスはインターネット上で資産やスキルの提供者と利用者を結びつけるもの、利用したいときにすぐ取引が成立するものとし、市場規模は資産・サービス提供者と利用者の間の取引金額と定義しています(プラットフォーマーの売上ではない)。


引用:シェアリングエコノミー協会「シェアリングエコノミー市場調査 2022年版」


現状のペースで成長を続けると、10年後(2032年度)の市場規模は8兆5,770億円と予想されています。認知度の低さなどの課題を解決できると、10年後(2032年度)に15兆1,165億円に成長すると予想されている点も見逃せません。

 

シェアリングエコノミーは、大きな可能性を秘めているといえるでしょう。

シェアリングエコノミーが普及した背景

市場規模を見てわかるとおり、シェアリングエコノミーは急速に普及しています。

どのような背景が考えられるのでしょうか。

 

IT技術の進歩

シェアリングエコノミーが、急速に普及した背景としてIT技術の進歩があげられます。これにより、従来は難しかった個人間の取引を実現できるようになりました。ポイントは、個人間の取引コストを引き下げられたことです。少額取引が可能になったため、個人間取引を中心に、シェアリングエコノミーが普及したと考えられます。

 

ソーシャルメディアの登場も、シェアリングエコノミーの普及につながっています。個人間取引の問題点は、ニーズのマッチングが難しいことと取引相手の信頼性がわからないことです。シェアリングサービスのプラットフォームとソーシャルメディアを連携させることでこれらの課題を解決できます。ソーシャルメディアの登場で、シェアリングエコノミーが身近になりました。

 

スマートフォンやタブレットの普及

スマートフォンやタブレット端末の普及も、シェアリングエコノミーの拡大に貢献しています。これらの登場により、時間と場所の制約を受けにくくなったためです。

 

スマートフォンなどが登場するまで、原則としてPCがある場所で取引を行う必要がありました。したがって、取引を行える時間は、自宅にいるときなどに限定されます。スマートフォンやタブレット端末が登場してから、ネットに接続していれば、外出先でも自由に取引を行えるようになりました。

 

参加のハードルが下がったため、シェアリングエコノミーが急速に普及したといえるでしょう。

 

価値観の変化

価値観の変化、具体的にはモノ消費からコト消費への移り変わりも、シェアリングエコノミーの普及に影響を与えていると考えられています。モノ消費は、商品そのものに価値を見いだす消費スタイル、所有することを大切にする消費スタイルです。生活用品が揃っていなかった時代に主流だった価値観といえるでしょう。

 

生活に必要なものが揃うと、コト消費が重視されるようになりました。コト消費は商品を通じて得られる体験・経験を重視する消費スタイル、心の満足を大切にする消費スタイルです。モノの所有にこだわらない人が増えたため、シェアリングエコノミーが普及したと考えられます。

 

景気の長期低迷、非正規雇用の増加で、節約を心がける方が増えた点も見逃せません。コストを抑えやすい選択として、シェアリングエコノミーが選ばれている面もあります。また、環境や持続可能性に対する関心の高まりも、シェアリングエコノミーの普及に一定の影響を与えているでしょう。

シェアリングエコノミーに関するメリット

 

シェアリングエコノミーには、さまざまなメリットがあります。

企業・利用者・環境面にわけて、主なメリットを紹介します。

 

企業のメリット

企業が提供者としてシェアリングエコノミーに参加すると、活用できていない資産や稼働していない資産を使って収益を得られます。たとえば、使っていない会議室を貸し会議室にして収益を得るなどが考えられるでしょう。

既存の資産を活用するため、参入にあたり初期費用がかかりにくい点も魅力です。

 

前述の例であれば、既に一定の設備が整っているため、初期費用ゼロで参入できる可能性があります。

ビジネスとして成り立ちやすい点もポイントです。

シェアリングサービスでは、原則として売上の数%をプラットフォーマーに支払います。

大きな手数料がかからないため、需要があれば継続できるケースが多いでしょう。

 

利用者のメリット

利用者側のメリットは、原則として購入費用がかからないことです。

少額の負担で、必要なものを必要なときだけ利用できます。

したがって、維持管理費なども基本的にかかりません。

たとえば、カーシェアリングであれば、自動車の購入費用はもちろん、保険料、ガソリン代、駐車場代なども不要です。経済的な負担を抑えつつ自動車を利用できます。

 

モノを所有しなくてよい点も魅力です。

モノの所有は満足感などにつながりますが、モノが増えすぎると保管場所を考えなければなりません。

シェアサービスを活用すれば、所有するモノを厳選できます。シンプルな暮らしを実現しやすくなるでしょう。

 

環境面のメリット

シェアリングエコノミーには、環境保全効果を期待できます。

モノや空間、移動手段などを効率よく活用できるためです。

たとえば、不用品をシェアすると廃棄物の発生量を減らせます。カーシェアリングの普及で、年間走行距離ならびにCO2排出量を削減できる可能性も示されています。

 

出典:岡山市「カーシェアリングの普及とCO2排出削減効果について」

 

また、シェアリングエコノミーが2030年度に14兆2,799億円まで拡大すると、スペース関連のCO2排出量とモノ関連のCO2排出量を7.3%削減(445万t-CO2)できると推計されています。

環境面のメリットも、非常に大きいといえるでしょう。

 

出典:一般社団法人シェアリングエコノミー協会「シェアリングエコノミー関連調査 2021年度調査結果(SDGsへの貢献効果)」

シェアリングエコノミーの注意点

シェアリングエコノミーには、注意したい点もあります。

 

主な注意点は次のとおりです。

 

責任の所在が曖昧になる可能性がある

シェアリングエコノミーは個人間の取引が基本です。

不特定多数の方と取引をするためトラブルに発展することがあります。

開始から間もないシェアサービスなどでは、トラブル発生時における責任の所在が曖昧になることがあるため注意が必要です。

たとえば、取引相手と連絡をとれなくなる、プラットフォーマーからもサポートを受けられないなどが考えられます。

 

このようなリスクを踏まえて、信頼できるサービス、取引相手を選ぶことが大切です。

サービスの信頼性はネット上の口コミ、取引相手の信頼性はサービス内の相互評価制度を参考にできるでしょう。

 

保険や補償制度が不十分な場合がある

保険や補償に対する考え方は、サービスで異なります。

補償を受けられないサービスがあるため注意が必要です。

また、補償を受けられても、範囲や限度額が小さいサービスもあります。

詳細を確かめてから利用することが重要です。

この作業を怠ると、人的傷害や物的損害が生じたときに、十分な補償を受けられないことも考えられます。

泣き寝入りせざるを得ないこともあるでしょう。

 

以前に比べると補償制度の整備は進んでいますが、それでも十分とはいえません。

万が一に備えて、確認しておきたいポイントです。

 

法律の整備が追いついていない

シェアサービスは、比較的、新しいサービスです。

現在も、新サービスが次々と登場しています。

取り扱う商品などによっては、法律の整備が追いついていないこともあります。法の抜け穴をつくようなサービスがある点も注意したいポイントです。

 

また、ある程度、普及してから法律を整備するケースもあります。

たとえば、民泊新法は、いわゆる「闇民泊」対策として整備された面があります。

法律の整備が追いついていないと、途中でルールが大きく変わるかもしれません。

ビジネスとして参入する場合は、関連する法律を確かめておく必要があります。

シェアリングエコノミーの具体事例

ここからは、シェアリングエコノミーの事例を紹介します。

なお、本記事内で紹介する事例は、あくまで一般的に有名な企業の取り組みであり、株式会社JEMSの事例ではありません。

JEMSではサーキュラーエコノミーの達成を支援しています。

 

Uber

アメリカに本社を構えるテクノロジーカンパニーです。
日本国内で、レストランパートナーと配達パートナー、利用者をつなぐプラットフォーム「Uber Eats」を展開しています。

 

具体的には、Uber Eatsアプリから注文した料理を配達パートナーが届けてくれるサービスです。

さまざまな料理を短時間で届けてくれる点が魅力といえるでしょう。

Uber Eatsは、配達スキルをシェアするサービスと考えられます。

 

Uberは、自動車を所有するドライバーと移動したい利用者をマッチングするプラットフォーム「Uber」も提供しています(移動のシェア)。

特徴は、ITを活用して運転者情報の透明性を高めるなど、安全に利用できる環境を構築していることです。

具体的には、乗車前にドライバーの情報を確認できる、GPS情報を記録するなどの取り組みを行っています。

日本国内でも、2024年4月2日からUberアプリを使ったタクシー会社によるライドシェアがスタートしています。

 

出典:Uber Eats

出典:Uber Newsroom「Uber Japan、 提携タクシー会社と 4 月上旬よりライドシェアを順次開始 約 10 社と東京・神奈川・愛知・京都で展開」

 

LUUP

「街じゅうを『駅前化』するインフラをつくる」をコンセプトに掲げるサービスです。

電動キックボードと電動アシスト自転車のシェアリングサービスを展開しています(移動のシェア)。

 

特徴は、これらを使ってポート(移動のハブ)からポートへ移動できることです。参考に、基本的な利用方法を紹介します。

 

【利用方法】

  1. 専用アプリを取得する
  2. 専用アプリで電動モビリティを借りるポートを探す
  3. 借りたい電動モビリティを選択する
  4. ポートで電動モビリティのQRコードを読み取る
  5. 目的地を設定してライドを開始する

 

2024年5月1日時点で、全国に7,400カ所のポートを設置しています。

同時点における提供エリアは、東京・大阪・横浜・京都などです。設置場所の拡大を目指している点も見逃せません。

 

出典:LUUP

 

クラウドワークス

仕事を依頼したい人と仕事を受けたい人をマッチングするプラットフォームを提供しています。

スキルをシェアするサービスといえるでしょう。

 

具体的には、システム開発、アプリ・スマートフォン開発、デザイン、動画・映像・アニメーション、ライティング・記事作成、ホームページ制作・Webデザイン、ビジネス・マーケティング・企画などに関する仕事を依頼、受注できます。

 

好きなことや得意なことをシェアして課題を解決したりお金を稼いだりできる点が魅力です。

 

出典:クラウドワークス

 

Airbnb

「誰でもどこでも居場所が見つかる世界(Belong Anywhere)」をミッションに掲げるアメリカの事業者です。空き家、空き部屋などを貸したい人と借りたい人をつなぐプラットフォームを展開しています。

空間をシェアするサービスといえるでしょう。

 

主な特徴として、ホストとゲストがお互いに評価する双方向のレビューシステムを導入していること、ホストを守るホスト損害補償、ホスト責任保険などを用意していることがあげられます。

自治体と提携するなど、地域の活性化に貢献しています。

 

出典:Airbnb

出典:Newsroom「Airbnb、2023年の1年間で4,055億円を日本の国内総生産に貢献し、41,500人の雇用機会を創出」

 

メルカリ

「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」をミッションに掲げる事業者です。

モノの売り買いを手軽に楽しめるフリマサービス「mercari」を展開しています。

インターネットを活用して売りたい人と買いたい人をマッチングする点が特徴といえるでしょう。

 

2022年12月31日時点における月間利用者数は2,200万人以上、累計出品数は30億品以上です。

エンタメ・ホビー、衣料品、家電、スポーツ・レジャーグッズなど幅広い商品を扱っています。

モノの循環、価値の循環に大きく貢献しているサービスといえるでしょう。

 

出典:mercari

出典:mercari「フリマアプリ「メルカリ」、サービス開始10周年記念インフォグラフィックス公開」

シェアリングエコノミーは持続可能な経済発展に欠かせない

ここでは、シェアリングエコノミーについて解説しました。

シェアリングエコノミーは、インターネットを介して遊休資産などを共有する経済の在り方です。

使っていない資産を利用して収益を得られる、環境保全につながるなどのメリットがあります。

 

サーキュラーエコノミーの一類型と考えられる点もポイントです。

サーキュラーエコノミーは、資源を循環利用して新たな価値を生み続ける経済の在り方です。

 

いずれも持続可能な経済の発展に不可欠な要素といえるでしょう。

事業者は、重要性を理解してこれらを意識した取り組みを続けていくことが大切です。

 

 


 

JEMSでは、企業のサーキュラーエコノミーへの取り組みに貢献するソリューションを提供しています。

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