リニアエコノミーとは?サーキュラーエコノミーとの違いも解説
2024/06/12
2024/7/30
- 循環型社会
サーキュラーエコノミーの重要性が高まっている昨今、“リニアエコノミー”という単語も耳にする機会が増えてきています。
しかし、そのリニアエコノミーが意味する内容を、把握していない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、リニアエコノミーの概要と、その具体例を解説いたします。
「サーキュラーエコノミーに関連する情報は網羅しておきたい」とお考えの担当者様は、ぜひご覧ください。
リニアエコノミーとは
“直線型経済”を意味するリニアエコノミーとは、その名の通り、“資源の採掘に始まり、大量生産を経て、最後には大量に廃棄する”という、一方通行的な経済活動のことです。
18世紀半ばに起きた産業革命から長らく続いてきた形態であり、資源の枯渇や増えつづける廃棄物といった、人類が現在直面している問題の根本的な原因でもあります。
リニアエコノミーに基づく社会では、企業は大量に製品を生産し、販売することで利益を得ようとします。
それに呼応するように、消費者も次から次へと新製品を購入しては、古くなった製品を廃棄していくわけです。
誰もリサイクルや再利用などの可能性を考慮せず、限りある資源はただ消費されるだけとなり、結果として、自然環境の破壊や重大な社会問題の発生へとつながってしまいます。
このような危機的状況を回避すべく考えられたのが、資源の再利用を促進し、廃棄物をゼロにすることを目指す経済形態である、サーキュラーエコノミーです。
つまり、リニアエコノミーとサーキュラーエコノミーは、正反対の概念であるといえます。
リニアエコノミーの例
環境保全に対する意識は世間でも高まりつつありますが、それでもまだ、リニアエコノミーに基づいたビジネスは私たちの身近に存在しています。
以下に、代表的な2つの例をご紹介します。
その①ファストファッション
近年ファッション業界で主流となっている“ファストファッション”とよばれる分野は、リニアエコノミーの典型的なビジネスモデルとして知られています。
ファストファッションとは、その時々のトレンドに合わせたデザインの衣服を、大量に生産し、低価格で提供する販売形態です。
流行に沿って矢継ぎ早に新商品が発表され、消費者はそれを「おしゃれでお買い得だ」と感じ、購入するわけです。
しかしその裏には、トレンドから外れた商品が大量に廃棄されているという事実があります。
リニアエコノミーの特徴である“大量生産・大量消費”の、最たる例だといって差し支えないでしょう。
その②スマートフォン
私たちが日々利用しているスマートフォンも、リニアエコノミーの代表例の一つです。
スマートフォンに用いられているレアメタルは、その採掘過程で化学物質が排出されます。
この化学物質が適切に処理されないと、土壌や地下水、さらには川や池までもが汚染されてしまうのです。
さらに、スマートフォンにおいて問題があるのは、製造過程だけではありません。
驚くべきことに、一部のメーカーは、最新モデルの購入を促すために、古いモデルの製品寿命を意図的に短く設計していたことが知られています。
そうした不正のせいで、環境を犠牲にして作られたスマートフォンも、発売から数年経てば型落ちとして見向きもされなくなり、電子ごみとして廃棄されてしまうのです。
スマートフォンの利便性は、こうした悲惨な事実の上に成り立っていることを忘れてはなりません。
リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへ
先の事例からもわかる通り、社会がリニアエコノミーを基軸としたまま発展すると、自然環境の破壊や廃棄物問題が悪化の一途を辿ってしまいます。
そして最終的には、私たち人類の未来すらも閉ざすことになりかねません。
そのような事態を防ぐためにも、リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへと移行し、サステナブルな社会を実現する必要があるわけです。
企業が実践できるサーキュラーエコノミーへの取り組み案としては、以下が挙げられます。
【サーキュラーエコノミーへの取り組みとして企業ができること】
- 製品の設計段階から廃棄物が出ないようなデザインにする
- 廃棄物を再利用して製品を製造する
- 可能な限り長持ちする製品を製造する
サーキュラーエコノミーに取り組めば、自然環境を守れるだけでなく、消費者や投資家からも良い評価を得ることができます。
サステナブルな社会の実現に貢献しつつ、自社のビジネスチャンスも増やしたいのであれば、いち早くサーキュラーエコノミーへ取り組んでいきましょう。
リニアエコノミーとは、サーキュラーエコノミーと対をなす従来的な経済形態のこと
今回は、リニアエコノミーの概要を説明し、該当する事例も紹介しました。
リニアエコノミーとは、資源の採掘、大量生産、大量消費を中心とする、従来的な経済形態です。
環境破壊や廃棄物問題の原因となっているため、新しい経済形態であるサーキュラーエコノミーへと、早急に移行していく必要があります。
JEMSでは、サーキュラーエコノミーの実現に向け資源循環の価値証明サービス「Circular Navi」の提供を2022年4月に開始しました。
すでにプラスチックの資源循環をはじめとした実証実験などにご活用いただいています。
その他にも、一般廃棄物を削減するための回収量の見える化などさまざまな取り組みを支援しています。
今後も約30年にわたる廃棄物管理の分野で培ったノウハウとパートナーシップをもとに再生材や再生材利用製品の価値を最大化することで企業の循環型ビジネスの構築を支援していきます。
サーキュラーエコノミーに主体的に取り組もうとお考えの皆様のパートナーであり続けることを目指しています。