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デジタルプロダクトパスポート(DPP)とは?

2022/08/01

2024/9/3

  • 経営管理
  • 循環型社会

近年、世界中でサーキュラーエコノミーやカーボンニュートラルに向けた取り組みが進められています。
そのようななか、注目を集めているが、製品の耐久性やリサイクルの容易性といった情報を付与する“デジタルプロダクトパスポート(DPP)”です。

 

そこで本記事では、デジタルプロダクトパスポート(DPP)の概要や、サーキュラーエコノミーとの関連性を解説します。
環境問題への取り組みを目指している事業者様は、ぜひご覧ください。

目次

デジタルプロダクトパスポート(DPP)とは

デジタルプロダクトパスポート(DPP)とは、製品の製造元や原材料といった持続可能性に関する情報を電子的に記録した証明書のことです。

 

その情報には、リサイクルの容易性や解体方法なども組み込まれており、製品のライフサイクルの追跡を可能にします。
デジタルプロダクトパスポート(DPP)から読み取れる主な情報は、以下の通りです。

 

【デジタルプロダクトパスポート(DPP)から読み取れる情報の一例】

  • その製品が本物なのか
  • 原材料は何なのか
  • どこで生産されたのか
  • リサイクルは可能なのか

 

上記の情報から、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量の把握や、適切なリサイクル方法の判断ができるわけです。

 

なお、デジタルプロダクトパスポート(DPP)は、人の属性や移動の履歴を書き込む“パスポート(旅券)”に似ていることから、“モノのパスポート”ともよばれています。
記録する媒体は、電子的なものであれば種類を問わないため、読み取りにはバーコードやQRコードなどが利用されています。

サーキュラーエコノミーとの関連性

デジタルプロダクトパスポート(DPP)は、サーキュラーエコノミーとデジタルを結ぶプラットフォームとなり得ます。
サーキュラーエコノミーは、経済活動のなかで廃棄されていた製品や原材料を“資源”と捉え、リユース、あるいはリサイクルすることで、資源を循環させる経済システムのことです。

 

2022年3月、欧州連合の政策執行機関である欧州委員会は、サーキュラーエコノミーアクションプランの要となる“持続可能な製品イニシアチブ(SPI)”を公表しました。
SPIの目的は、端的に言えばEU域内での持続可能な製品市場の創出であり「持続可能な製品とは何か? 」を定義づけることです。

 

デジタルプロダクトパスポート(DPP)に記録された情報をもとに、EUの環境基準に適さない製品に販売許可を与えない、または高い関税をかけるなどの措置が可能になります。

 

関連記事:サーキュラーエコノミーとは?3Rとの違い、3原則や取り組みを解説

デジタルプロダクトパスポート(DPP)が注目される背景

 

デジタルプロダクトパスポートが、注目を集める理由として、次の3つの背景が挙げられます。

 

【デジタルプロダクトパスポート(DPP)が注目を集める背景】

 

  • 世界的にサーキュラーエコノミーやカーボンニュートラルが重要視されている
  • 原材料の調達からリサイクルまでのライフサイクルが、サステナブルであることを証明する必要がある
  • デジタルプロダクトパスポート(DPP)に対応しなければ、EU域内の企業が主導するサプライチェーンから除かれてしまう可能性がある

 

順番に解説していきます。

 

背景①世界的にサーキュラーエコノミーやカーボンニュートラルが重要視されている

欧州をはじめとする世界中の経済活動で、SDGsを筆頭に、サステナブルな社会の実現が求められています。
そんななか、重要視されているのが“サーキュラーエコノミー”と“カーボンニュートラル”です。
サーキュラーエコノミーは、前述した通り、経済活動の過程で廃棄されていた製品や原材料を資源として循環させる経済システムのことです。
経済活動のさまざまな段階で、円を描くように素材や製品を循環させ、廃棄物の発生を最小限に抑えます。

 

もう一方のカーボンニュートラルは、温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにするという取り組みです。
具体的には、製品の製造過程で排出される温室効果ガスを可能な限り削減したうえで、排出せざるを得ないぶんは植林や森林管理などによる吸収で相殺します。
こうすることで、温室効果ガスの排出量実質ゼロを目指すのです。

 

デジタルプロダクトパスポート(DPP)が導入されれば、その製品の製造にどれほどの環境負荷がかかっているのかを、事業者だけでなく消費者も定量的に把握できます。
つまり、世界中の誰もが、デジタルプロダクトパスポート(DPP)を通じて、サステナブルな社会の実現に必要な情報を得られるようになるわけです。

 

 

背景②原材料の調達からリサイクルまでの過程が、サステナブルであることを証明する必要がある

サステナブルな社会を実現するため、メーカーには、その製品の原材料の調達からリサイクルまでのライフサイクルに関する情報を網羅的に把握しておくことが求められています。

 

しかし近年、プロダクト開発は非常に複雑化しており、一つの製品を製造するにしても、多くの部品を要するだけでなく、さまざまな加工も必要になっています。
そのため、メーカーだけで製品に関する情報を把握するのは、困難であると言わざるを得ません。

 

カーボンニュートラルの取り組みとして、温室効果ガスの排出量を取引する場合も、サプライチェーン全体でどれだけの排出量があるのかは不明瞭です。
その点、デジタルプロダクトパスポート(DPP)が実装されれば、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量の見える化が叶います。
デジタルプロダクトパスポート(DPP)は、ライフサイクルを可視化するエコシステムとして、注目を集めているのです。

 

背景③EU域内の企業が主導するサプライチェーンから除かれてしまう可能性がある

欧州委員会が発表した“持続可能な製品のためのエコデザイン規則案(ESPR)”では、企業に対するデジタルプロダクトパスポート(DPP)の導入義務が新たに盛り込まれました。
SPI公表と同じく、2022年3月のことです。
デジタルプロダクトパスポート(DPP)は、欧州委員会が推進する経済政策というわけです。

 

EU域内で販売される製品について、そのメーカーにまでさかのぼり“域外でのサプライチェーン全体にも責任がある”ということになる可能性も考えられます。
EU以外の国や地域のメーカーも、デジタルプロダクトパスポート(DPP)に対応しておかなければ、EU域内のサプライチェーンから除かれてしまうかもしれません。

 

欧州と貿易するメーカーは、デジタルプロダクトパスポート(DPP)の対応に遅れれば、ビジネスチャンスを逃しかねないのです。

デジタルプロダクトパスポート(DPP)の導入が検討されるまでの経緯

デジタルプロダクトパスポート(DPP)の導入が検討されるようになった現在に至るまでに、欧州ではどのような経緯があったのでしょうか。 これまでの、政策決定の足取りを振り返っておきましょう。

 

【デジタルプロダクトパスポート(DPP)の導入が検討されるまでの経緯】

制定年

計画・戦略名

概要

2010年

欧州2020

EUの経済成長戦略

2015年

循環経済パッケージ

欧州2020を達成するためのイニシアチブ

2020年

循環経済行動計画

持続可能な循環型経済を実現するための具体的な行動指針

以下では、それぞれどのような施策なのかを解説します。

 

その①2010年 欧州2020

2010年に、欧州委員会が発表したEUの中期成長戦略が“欧州2020”です。 欧州2020では、EUが経済成長を果たす鍵となる、3つの優先事項が挙げられました。

 

【欧州2020における3つの優先事項】

知的な経済成長 知識とイノベーションを基盤とする経済の発展
持続可能な経済成長 より資源効率的で、よりグリーンな、より競争力の高い経済の促進
(社会全体を)包括する経済成長 経済的・社会的・地域的結束をもたらす高雇用経済の促進

 

2020年までに、EUの競争力を強化する雇用戦略として、環境への影響を最小限に抑えつつ、持続可能な資源を利用し、資源効率を向上させることが明記されました。

 

その②2015年 循環経済パッケージ

2015年に制定された循環経済パッケージは、欧州2020を達成するためのイニシアチブの一つです。 その目的は、製品の製造から消費、廃棄物管理まで、資源のライフサイクル全体を網羅する入手可能な情報の品質を高め、二次原材料の市場を発展させることにあります。 具体的な内容としては、欧州2020を達成するための行動計画やリサイクル率、廃棄物削減率の目標値が定められています。

その③2020年 循環経済行動計画

2020年の循環経済行動計画では、持続可能な循環型経済を実現するための具体的な行動指針を示されました。 経済競争力と環境保護の両立を実現するために、次の4項目を行動の柱として設定しています。

 

【循環経済行動計画の4つの柱】

持続可能な製品を欧州の規範とする

  • 持続可能な製品政策に関する法案の作成
  • 製品の長寿命化、容易な再利用・修理・リサイクルの実現

消費者の権利強化

  • 修理可能性や耐久性などに関する情報を閲覧可能にする
  • 持続可能性に配慮した選択をできるようにする

資源循環への移行の可能性が高い産業においては具体的な施策を検討

  • 資源循環への移行の可能性が高い産業においては具体的な施策を検討する(電子・情報通信機、バッテリー・車両、包装、プラスチック、繊維、建設・建物、食品)

ごみ削減に向けた取り組み

  • ごみの分別と環境ラベルの欧州共通モデルを策定する
  • ごみの輸出の最小化と違法輸送を対策する

2022年3月のSPI公表とデジタルプロダクトパスポート(DPP)導入義務付けに至るまでに、これだけの行動指針が示されてきたわけです。

デジタルプロダクトパスポート(DPP)のメリット・デメリット

サステナブルな社会の実現に欠かせないデジタルプロダクトパスポート(DPP)ですが、その導入にはメリットとデメリットがあることを踏まえておきましょう。

 

【デジタルプロダクトパスポート(DPP)のメリット・デメリット】

メリット デメリット
  • 製品全体のライフサイクルが持続可能であることを証明できる
  • 製品のリスク管理が容易になる
  • 人的・経済的コストがかかる
  • 高い情報セキュリティが要求される

 

具体的にどのようなメリットとデメリットなのかを、解説します。

 

メリット①製品全体のライフサイクルが持続可能であることを証明できる

デジタルプロダクトパスポート(DPP)が導入されることで、その製品がどのような原材料を使用し、どのような過程を経て製造されているかが確認できるようになります。

それだけでなく、リサイクルや最終的な廃棄を含む、ライフサイクル全体の追跡が可能になるのです。

これらの情報はすなわち、持続可能なエコシステムであることの証明となるわけです。

 

メリット②製品のリスク管理が容易になる

デジタルプロダクトパスポート(DPP)が導入されれば、製品の生産・流通工程が記録として残ります。

これらの情報を活用すれば、たとえ問題が発生したとしても迅速な対応が可能になるのです。

 

例として、ある製品に欠陥が見つかったケースを想定してみましょう。

製品の生産工程が、デジタルプロダクトパスポート(DPP)に記録されていれば、どの工程で問題が発生したのかを速やかに特定できます。

問題が発生している工程を突き止められれば、短時間での原因解明、および修正も不可能ではありません。

 

迅速な原因解明が叶うということは、消費者に向けた情報開示を行うまでの時間の短縮にもつながるということです。

早急な対応により、企業のイメージダウンや経済的損失も最小限に食い止められるでしょう。

デジタルプロダクトパスポート(DPP)による情報の管理は、突発的なトラブルによる被害拡大の抑止力となり得ます。

 

デメリット①人的・経済的コストがかかる

EUにおいてデジタルプロダクトパスポート(DPP)の導入は、企業の義務となっています。

企業は、自社内で製品の情報を登録する必要があり、その作業で発生する人件費やサーバー費用を半永久的に負担しなければなりません。

デジタルプロダクトパスポート(DPP)の導入で生じるコストは、企業の大きな負担となっているのです。

 

また、デジタルプロダクトパスポート(DPP)導入に伴い、一定の環境基準を満たしていない製品に関しては、市場から回収しなくてはなりません。 これらの費用負担は、企業にとってデメリットと言わざるを得ないでしょう。

 

なお、このようなデジタルプロダクトパスポート(DPP)の導入に付随して発生するコスト負担を軽減するため、各国で国家単位での助成金や支援体制が整えられつつあります。

ドイツでは、デジタルプロダクトパスポート(DPP)の開発に乗り出す自国内企業に対して、総額820万ユーロを助成した実績があります。

 

デメリット②高い情報セキュリティが要求される

デジタルプロダクトパスポート(DPP)には、製品に関するさまざまな情報が記録されています。

そのなかには、サプライヤーや顧客の情報も記録されている可能性があるため、情報漏洩を防止するセキュリティ対策が不可欠です。

 

アクセス制限を設ける、あるいは情報を暗号化するなどして、情報を適切に運用しなければなりません。

これは、デジタルプロダクトパスポート(DPP)の課題の一つです。 この課題に対して、近年、ブロックチェーン技術の活用が進められています。 ブロックチェーンは、ビットコインをはじめとする、暗号資産の取引で用いられる技術です。

情報の改ざんが非常に困難、かつ透明性の高い取引を実現できます。

 

情報を適切に運用するためには、デジタルプロダクトパスポート(DPP)とブロックチェーン技術が揃って機能していることが大切なのです。

デジタルプロダクトパスポート(DPP)が社会に与える影響

デジタルプロダクトパスポート(DPP)が普及すると、社会に対してどのような好影響を与えるのでしょうか。
考えられるのは、以下の3つです。

 

【デジタルプロダクトパスポート(DPP)が社会に与える好影響】

  • 環境負荷が軽減される
  • 新たな購買決定要因によって企業間競争が生まれる
  • 消費者の能動的な購買行動が実現する

 

どのようなことなのか、一つずつ解説します。

 

①環境負荷が削減される

デジタルプロダクトパスポート(DPP)の導入により、自社の製品を製造するうえでの環境負荷の削減が期待できます。

 

なぜなら、デジタルプロダクトパスポート(DPP)の目的自体が、製品の持続可能性を高めることにあるためです。
企業は、デジタルプロダクトパスポート(DPP)の導入とともに、製品の設計から廃棄までのプロセスにおける、資源の有効活用に取り組むこととなります。

 

デジタルプロダクトパスポート(DPP)が導入されれば、製品のライフサイクル全体の記録と追跡が可能になり、企業の環境戦略の一助になり得ます。
自社の製品を製造するにあたって、どのプロセスが環境に負荷をかけているのかが、ひと目で特定できるわけです。
その結果、企業ごとに、効果的な環境改善案を導入することも容易くなるでしょう。

 

②新たな購買決定要因によって企業間競争が生まれる

消費者は、製品を購入する際、価格や機能だけでなく「環境に配慮しているか」も気にし始めています。
つまり、デジタルプロダクトパスポート(DPP)が普及すれば、製品の製造プロセスやリサイクル可能性の提示により、他社との差別化を図ることもできるわけです。

 

環境への影響という購買決定要因が加わることで、企業間に好ましい競争意識が生まれることが期待されます。
また、環境に配慮する取り組みが周知されれば、企業のブランドイメージの向上も期待できます。

 

③消費者の能動的な購買行動が実現する

デジタルプロダクトパスポート(DPP)の情報も、消費者が購入を検討する要因の一つとなり得ます。

 

たとえば食品の場合、栄養成分表示が義務付けられています。
その栄養成分表示から、原材料や産地、栄養素を見て、製品を購入するか否かを判断する方も少なくないはずです。
このように、消費者は、開示されたデータから製品の購入を判断しています。

 

デジタルプロダクトパスポート(DPP)も同じように、製品の製造プロセスやリサイクル可能性を、消費者が能動的に確認することができます。
デジタルプロダクトパスポート(DPP)が一般化すれば、今よりも自由度の高い消費行動が可能になるのです。

欧州における現在のデジタルプロダクトパスポート(DPP)の検討状況

欧州委員会は2022年3月、循環型経済行動計画に基づく製品製造の枠組みとして、“エコデザイン規制案”を発表しました。
これにより、企業へのデジタルプロダクトパスポート(DPP)の導入が、新たに義務付けられたのです。
製品における環境影響の8割を決める設計段階において、製品の耐久性やリサイクルの容易性など、エネルギーと資源の効率を高めるための要求項目を検討しています。

 

次項では、想定される要求項目と、ドイツ政府によるデジタルプロダクトパスポート(DPP)への助成事例をお伝えします。

 

想定される要求項目

エネルギーと資源を効率的に使うための要求項目として、以下の内容が想定されます。

 

【想定される要求項目】

  • 耐久性
  • 信頼性
  • 再利用可能性
  • アップグレード性
  • 修復性
  • メンテナンスの容易性
  • 改修の容易性
  • リサイクルの容易性

 

上記にくわえて、製品の種類ごとに固有の情報要件が設定される予定です。

 

これらの情報を製品に付与することで、メーカーはサプライチェーン全体を通じた資源循環の構築に役立てることができます。
また、消費者も製品のもつ環境負荷に関する情報を確実に把握することが可能になるのです。

 

ドイツ政府によるデジタルプロダクトパスポート(DPP)開発への助成

ドイツ連邦共和国の連邦行政機関である“ドイツ経済・気候保護省”は、デジタルプロダクトパスポート(DPP)の開発に対して、資金提供を開始しました。
蓄電池の材料調達からリサイクルまでの、ライフサイクル全体にわたる情報管理を目指します。
フォルクスワーゲンやBMWといった、民間企業や研究機関が参画するプロジェクトとして進められています。

日本企業に求められる対策

 

欧州のサプライチェーンに参画している日本企業にも、デジタルプロダクトパスポート(DPP)に関する、早急な対応が求められています。

 

欧州において、デジタルプロダクトパスポート(DPP)を活用したサプライチェーン全体の情報を管理できる体制づくりが着々と進められています。
今後、欧州企業に製品を提供している日本企業は、納品と同時にデジタルプロダクトパスポート(DPP)の提出も求められるようになるでしょう。
もし、その日本企業がデジタルプロダクトパスポート(DPP)を導入できなければ、欧州の市場から締め出しを余儀なくされるおそれがあるわけです。

デジタルプロダクトパスポート(DPP)の導入事例

日本国内で、デジタルプロダクトパスポート(DPP)が、どのように導入されているのか、その事例を紹介します。

 

『帝人株式会社』『チムニー株式会社』『JEМS』の3社は、トレーサビリティに対応した、漁網由来の再生ポリエステル樹脂製の配膳用トレーを共同開発しました。

 

日本では、ポリエステル製の漁網が年間1,300トンも、再利用されることなく廃棄されています。
基本的には埋め立て処分されているものの、海洋中に流出するケースもあり、環境への悪影響が問題視されています。

 

この状況を受け、帝人株式会社が漁網のリサイクルによる、廃棄量の削減を目指す取り組みを始めました。
その際、リサイクルにより生産した製品の販路の開拓と、トレーサビリティの構築が課題に挙がったのです。

 

一方、全国に600店以上の飲食店グループを展開するチムニー株式会社は、環境負荷軽減の実現に向けて、運営する店舗でのサステナブルな取り組みを模索していました。
また、環境に特化したIT事業を展開するJEMSは、IT製品の開発やソリューションを提供しており、この3社の取り組みが合致し、共同開発に乗り出します。

 

開発したトレーには、JEMSのブロックチェーン技術を用いたトレーサビリティシステムを用いたQRコードが記載されています。
このQRコードをスマートフォンで読み取ることにより、トレーの原材料や、生産する際に発生した温室効果ガスの情報が確認できるのです。

 

関連記事:トレーサビリティに対応した漁網由来の再生ポリエステル樹脂製の配膳用トレーの開発と展開 | 株式会社JEMS

デジタルプロダクトパスポート(DPP)普及に向けた課題と今後の展望

デジタルプロダクトパスポート(DPP)普及に向けた課題として、次の3つが挙げられます。

 

【デジタルプロダクトパスポート(DPP)普及に伴う課題】

  • 情報を開示するためのプラットフォームの構築
  • 情報セキュリティの確立
  • 発生するコストのカバー

 

デジタルプロダクトパスポート(DPP)を普及させるには、その情報を開示するためのプラットフォームの構築が必要です。
機密情報を安全に管理するための、セキュリティ体制の確立も欠かせません。
それと並行して、企業は、デジタルプロダクトパスポート(DPP)を導入する際のコスト負担をどのようにカバーするかも検討しなければならないわけです。

 

現在、デジタルプロダクトパスポート(DPP)に関する情報開示を、法的に定める話し合いが進められています。
デジタルプロダクトパスポート(DPP)の法制化が進むとともに、上記の課題が解決されれば、社会全体の持続可能性が高まることは間違いありません。

デジタルプロダクトパスポート(DPP)は、サーキュラーエコノミーとデジタルを結ぶ架け橋

今回は、デジタルプロダクトパスポート(DPP)の概要と、メリット・デメリットを解説しました。

 

デジタルプロダクトパスポート(DPP)は、製品の製造企業や原材料、リサイクルの容易性といった情報を電子的に記録した証明書のことです。
サーキュラーエコノミーやカーボンニュートラルの実現を目指す現代において、デジタルプロダクトパスポート(DPP)の情報は、重要性を増していくでしょう。

 

 


 

JEMSでは、サーキュラーエコノミーの実現に向け資源循環の価値証明サービス「Circular Navi」の提供を20224月に開始しました。

すでにプラスチックの資源循環をはじめとした実証実験などにご活用いただいています。

その他にも、一般廃棄物を削減するための回収量の見える化などさまざまな取り組みを支援しています。

 

今後も約30年にわたる廃棄物管理の分野で培ったノウハウとパートナーシップをもとに再生材や再生材利用製品の価値を最大化することで企業の循環型ビジネスの構築を支援していきます。

サーキュラーエコノミーに主体的に取り組もうとお考えの皆様のパートナーであり続けることを目指しています。

JEMSの取組事例はこちら

 


 

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