今さら聞けない現地確認について
2022/06/13
2024/1/9
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現地確認の必要性と実施方法
排出事業者が産業廃棄物の処理を業者へ委託する場合に求められる処理状況の確認は、一般的に「現地確認」(「実地確認」とも言う)と呼ばれています。廃棄物処理法においては、条文で以下のように示されています。
「必要な措置を講ずるように努めなければならない」とあり、罰則などが規定されていないことからも現地確認は「努力義務」と認識されています。一方で、自治体によっては条例で現地確認を行うことを義務と定めている地域があります。例えば愛知県では条例で以下のように定めいます。
出展:愛知県 廃棄物の適正な処理の促進に関する条例第7条に関するガイドライン(排出事業者用)より
このように自治体によっては、現地確認を行うことを義務化している場合もあるため、法律上は努力義務という表現ではありますが、軽視はできません。それでは、条例で定めているように1年に1回以上、全ての委託先処理業者に対して現地確認を行う必要があるのでしょうか?
処理業者の中には「優良産廃処理業者認定制度」により、通常の業許可の基準より厳しい基準に適合して優良認定を受けた処理業者が存在します。その優良認定業者に対しての現地確認は、公開情報の確認により処理が適正に行われていることを間接的に確認することで、現地確認を行ったことと同等であると認められる場合があります。
参考:平成23年2月4日廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律等 の施行について(通知)
現地確認の準備と実施方法
現地確認を行うにあたり、どのような準備をする必要があるのでしょうか。
はじめに、現地確認を行う業者について、事前に公開情報から許可証の期限や財務状況などを調査します。調査の方法としては、HPや産廃情報ネットで掲載情報を確認します。特に優良認定業者は、詳細に情報が公開されています。
次に、業者の工場で確認する項目をまとめたチェックリストを用意します。手ぶら行くと、単に工場見学で終わってしまい、確認すべき箇所を見逃してしまう可能性があります。チェックリストに関する参考資料は、環境省や各自治体、業界団体からも公開されています。
<参考>
公益社団法人 全国産業資源循環連合会:実地確認チェックリスト
実際に現地確認を行う際は、用意したチェックリストを使い、業者とコミュニケーションを取りながら確認を進めていきます。その際に、写真や動画を撮っておくと後々見返した場合にどのような状況だったかが分かります。
まとめ
今日に至るまで、廃棄物については大規模な不法投棄や不適正処理が行われた事件が発生してきました。その原因は様々ですが、委託する処理業者への事前調査を綿密に行い、調査した情報通りの施設・処理状況であるか現地確認を行っていれば防げた事件もあったかもしれません。
現在は、排出事業者のコンプライアンス意識が向上し、現地確認を積極的に行っている企業が多く見られます。しかし、コロナウイルス蔓延に伴い遠方への現地確認が行いづらい状況が続いています。このような状況下においても、ICTを活用して現地確認を行う取り組みがあります。こちらは次回のコラムにてご紹介します。
JEMSでは、サーキュラーエコノミーの実現に向け資源循環の価値証明サービス「Circular Navi」の提供を2022年4月に開始しました。
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