【臨時コラム】『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律』~案からの変更点について~
2022/02/04
2022/2/4
- リニアエコノミー
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- 循環型社会
はじめに
新たな法律ができて施行されるまでには、一般的に法律案の策定から始まり、国会による法律の決定後、関連する施行令や施行規則等の案を作成し、パブリックコメントと呼ばれる一般からの意見募集等を経て、法律の施行日が決定される一連の流れがあります。当初の案はあくまで案なので各手続きを踏んでいくことで、必要に応じて都度修正が加えられるということになります。
プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律においては10月8日に公開された施行令案より本コラムにて解説してきました。今回は施行令等関連政省令が公布されたことに伴い、案からの変更箇所について解説します。
内容
同法施行令および施行規則等の主な案からの変更内容として以下のとおりとなります。
特定プラスチック製品を扱う業種の定義について
案の段階においては特定プラスチック製品の対象12品目と対象業種がそれぞれ規定されておりましたが、施行令においては対象12品目とその品目に対応する業種が明確に指定されました。例えば、ストローは対象業種として洗濯業が入っていないため、洗濯業でストローを提供したとしてもそれは特定プラスチック製品には当たらないということになります。
対象製品 |
対象業種 |
フォーク、スプーン、テーブルナイフ、 マドラー、飲料用ストロー |
●各種商品小売業(無店舗のものを含む。) ●飲食料品小売業(野菜・果実小売業、食肉小売業、 鮮魚小売業及び酒小売業を除き、無店舗のものを含む。) ●宿泊業 ●飲食店 ●持ち帰り・配達飲食サービス業 |
ヘアブラシ、くし、かみそり、 シャワーキャップ、歯ブラシ |
●宿泊業 |
衣類用ハンガー、衣類用カバー |
●各種商品小売業(無店舗のものを含む。) ●洗濯業 |
再資源化等の取り組みに関する報告義務について
以下、計画については、実施状況を毎年6月30日までに主務大臣(経済産業大臣及び環境大臣)に報告しなければならないとされました。
・認定市町村による「再商品化計画」
・認定自主回収・再資源化事業者による「認定自主回収・再資源化事業計画」
・認定再資源化事業者による「認定再資源化事業計画」
また、収集運搬の際には、その車両に下記2点が義務付けられました。
・当該使用済プラスチック使用製品の収集または運搬の用に供する運搬車または運搬船であることの表示
・認定書の写し、運搬先の事業場の名称、所在地及び連絡先を書面またはデータで備え付ける
情報開示の努力義務について
排出事業者(多量排出事業者も含む)は、行政への報告義務はないものの、毎年度、プラスチック使用製品産業廃棄物等の排出量、抑制及び再資源化に関する状況を記録し、インターネット等の方法にて、公表するよう努めるものと記載されました。
なお、提供事業者についても、上記のような情報公開をすることが求められているものの、「毎年度」のような定期的な公表までは明記されていませんでした。
委託基準について
以下に関する委託基準が規定され、収集の対象となるプラスチック使用製品廃棄物の定義や、再委託契約の際に含まれるべき事項について明記されました。
・指定法人からの再委託
・認定自主回収・再資源化事業者からの再委託
・認定再資源化事業者からの再委託
多量提供事業者の把握方法について
パブリックコメントでは262件の意見が寄せられ、その中には「特定プラスチック使用製品多量提供事業者をどのように国は把握していくのか?」」という意見もありました。
環境省からは
特定プラスチック使用製品多量提供事業者の把握の方法に関しては、指導や助言などの必要な行政措置に加え、業界団体等への調査や企業へのアンケート調査等を通じて、実態の把握に努めていく予定です。
という回答があり、施行令等にもまだ具体的な内容は無いため、多量提供事業者による自主的な取り組みに任せられると考えられます。