CFP(カーボンフットプリント)とは?
2021/12/06
2021/12/15
- 脱炭素
- カーボンニュートラル
はじめに
18世紀の産業革命以降、エネルギー供給源として石炭や石油などの化石燃料の使用が急増したことで、大気中の温室効果ガス(GHG)の濃度が高くなり、地表の温度が上昇する地球温暖化が進行しています。近年、地球温暖化に起因する台風、豪雨、洪水、猛暑や干ばつなどの異常気象が世界各地で頻発し、GHGによる「気候変動」は既に将来世代の生存基盤まで脅かす「気候危機」になりつつあります。
このような地球規模の環境問題に対して、企業、市民等が主体となって協力しながらGHG排出量の削減へ取組むことが重要です。その取組みの一つとしてCFP(カーボンフットプリント)が挙げられています。
CFPの定義
CFPは「カーボンフットプリント」の略称で、日本語に訳すると「炭素の足跡」となります。製品(商品やサービス)は原材料調達、生産、流通、使用・維持管理、廃棄・リサイクルの5段階のプロセスを経てライフサイクルを終えます。それぞれのプロセスで、GHGの排出量が積み重なっていきます。「カーボンフットプリント」は製品がそのライフサイクルのうちに排出されたGHGの量を計算し、CO2排出量に換算して製品に分かりやすく表示する仕組みです。
CFPの目的
CO2排出量の合計値を商品の包装に印字することで、事業者のGHG排出量が見える化され、より排出量の少ない原材料の調達や生産・加工工程での排出抑制等、事業者のGHG排出量削減に向けた取組みを促進します。
また、消費者である市民が製品を購入する際に「性能」や「価格」とは別に「環境」という新しい指標を選択できるようになり、自分たちが製品にかかわる段階で環境へ与える影響を意識するきっかけとなり、消費活動を通じた削減につながります。
事業者のCFP取組み事例
日本ハム株式会社は、原材料調達から廃棄・リサイクルまでの5段階で発生するGHG排出量を計算して「CO2排出量」に換算し、パッケージに表示する商品を2010年から販売しています。
CFPの仕組みを通じて、商品のライフサイクルの各段階におけるGHG排出量の見える化により、ニッポンハムグループの原材料調達の側面でのGHG排出規模が大きいことが明らかになりました。その上で、ニッポンハムグループはGHGの排出規模と自社管理のしやすさ(関与度)の観点から分析し、排出規模は小さいが、関与できる余地が大きい包装材料等の見直しを先行項目として取組んでいます。
おわりに
地球温暖化の進行を食い止めるために、私達は事業活動や日常生活において自らの出すGHGに責任を持ち、地球環境に配慮して行動することが必要となっています。
今後は、CFP等の仕組みにより、サプライチェーン全体のGHG排出量を可視化し、各工程での発生状況を把握し、効率的に削減可能な対象を特定して事業者単位を超えた一体的な削減対策により、全体最適化を実現していく取組みが一層求められるようになります。