新しい農業の形、ソーラーシェアリングとは?
2020/09/21
2022/4/25
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はじめに
ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)とは、農地に支柱を立てて上部空間にソーラーパネルを設置し、農業を営みながら太陽光発電で売電収入を得る仕組みのことです。売電収入によって農業経営の改善につながるだけでなく、再生可能エネルギーを活用した地球環境にも優しい取り組みです。
現在、農業分野における農家所得の向上や耕作放棄地の課題、エネルギー分野における再生可能エネルギーの普及などの課題を解決する方法として、注目されています。
ソーラーシェアリングの設置方法とは
ソーラーシェアリングでは、更地にするなどの大規模な整備は必要ありません。ソーラーパネルを田畑の上部に隙間を開けて設置します。地面からパネルまでの高さや、パネル同士の隙間(間隔)を調整することにより、パネル下で農機を利用しての作業も可能となります。また、太陽の動きに合わせてパネルの角度が自動で変わるものや、手動で角度を変えられるものなどもあるため、農地全体に日光が当たり、作物の成長に必要な日照量を確保することができます。
(参照:農林水産省 「営農型太陽光発電について」)
ソーラーシェアリングのメリット・デメリット
ソーラーシェアリングには以下のようなメリットがあります。
- 農業収入と売電収入による農業経営の改善
- ソーラーパネルで適度な日影ができ、農作業中の直射日光を防げる
- 作物への日光の当たりすぎを防ぎ、作物によっては品質が上がる
- 環境にやさしい農家としてイメージ向上につながる
一方で、以下のようなデメリットもあります。
- 支柱が邪魔になり、作業効率が下がる場合がある
- 初期費用がかかり、回収に時間がかかる
- 自治体から許可を受け、3年ごとに更新をする必要がある
- 長時間の日光が必要な、ソーラーシェアリングに適さない作物もある
ソーラーシェアリングの取り組み事例
すでにソーラーシェアリングを取り入れて、経営を改善している農家は多くあります。また、発電した電力を地域へ還元し、エネルギーの地産地消を行っている事例もあります。
①宮城県気仙沼市の農園
発電出力:35kW
ばれいしょ畑の上にソーラーパネルを設置しています。
発電した電気は大規模なトマト栽培施設等の暖房等に利用され、年間約600万円の電気代削減につながっています。
(参照:農林水産省 「営農型太陽光発電について」)
②千葉県のエネルギー会社
発電出力:35kW
大豆畑の上にソーラーパネルを設置し、災害時の非常用電力として活用しています。
令和元年9月の台風の影響で停電が続く中、携帯電話等の無料充電所を開設しました。非常時の地域への給電体制を整えるため、今後は市や自治組織との協定を結びます。
(参照:農林水産省 「営農型太陽光発電について」)
③北海道浜中町の農業組合
発電出力:計1050kW
町内の100戸余りの酪農家が牧場や畜舎にソーラーパネルを設置しました。
発電電力は畜舎内で使用し、余剰分は売電しています。太陽光を活用したエネルギーの地産地消とCO2の削減を実現しました。
(参照:農林水産省 「農山漁村における再生可能エネルギーの取組事例」)
まとめ
ソーラーシェアリングとは、農地にソーラーパネルを設置し、農業収入にプラスして売電収入を得る取り組みのことです。ソーラーシェアリングの最大のメリットは農家の収入向上ですが、発電電力を地域へ還元できるという点でも注目が集まっており、地域を巻き込んだ取り組みも行われています。また、ソーラーシェアリングは政府の「成長戦略フォローアップ」にも位置付けられ、今後普及していくと予想されます。農作物だけでなく、エネルギーも地産地消できる時代が始まっています。
環境DX事業部では、スマートコントラクトを活用した「再生可能エネルギーの地産地消」の実行可能性の検証実績がございます。ソーラーシェアリング含め再生可能エネルギーの発電、また、発電した再生可能エネルギーを地産地消する仕組みの導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
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