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サーキュラーデザインとは|構成する4つのプロセスと具体的な事例

2024/02/15

2024/6/5

 

サーキュラーデザインは、サーキュラーエコノミーと関わりが深いデザインです。

サーキュラーエコノミーに興味がある方は理解を深めておく必要があります。

 

ここでは、サーキュラーデザインの概要、エコデザイン、サステナブルデザインとの違い、サーキュラーデザインを構成する4つのプロセス、実現する6つの戦略などを解説するとともに具体的な事例を紹介しています。

ビジネスの持続可能性を追求したい方は参考にしてください。

 

サーキュラーデザインについて

 

サーキュラーデザインは、サーキュラーエコノミー(循環型経済)を実現するデザインです。

サーキュラーエコノミーは、資源の効率的かつ循環的な利用で、消費する資源の最小化ならびに資源と製品の価値の最大化を目指す新しい経済システムといえるでしょう。

 

サーキュラーデザインは、サーキュラーエコノミーを実現する重要な要素と考えられています。

製品のデザインが、資源の効率的な利用や循環的な利用に深く関わるためです。

たとえば、使用する原材料、想定する廃棄方法などにより、資源を循環利用できないこともあります。

サーキュラーデザインは、サーキュラーエコノミーの実現に欠かせない要素といえるでしょう。

 

関連記事:サーキュラーエコノミーとは?3Rとの違い、3原則や取り組みを解説

 

エコデザインやサステナブルデザインとの違い

サーキュラーデザインと混同されやすいデザインとして、エコデザインとサステナブルデザインがあげられます。

 

エコデザインは環境配慮設計と呼ばれる取り組みです。

具体的には、製品のライフサイクル全体を通じて、資源の消費を抑え、環境に与える影響を小さくするデザイン、設計を指します。

 

サーキュラーデザインとの大きな違いは、廃棄物の減少に焦点を当てていることです。

サーキュラーデザインは、資源の効率的かつ循環的な利用で廃棄物をゼロにすることを目指しています。

 

また、廃棄物をゴミと捉えず資源と捉える点もポイントです。

 

サステナブルデザインは、環境負荷などを抑えて持続可能な未来の実現を目指すデザイン、設計です。

ここでいう未来は、経済システムに限定されるものではありません。

サステナブルデザインは、サーキュラーデザインやエコデザインよりも大きな概念といえるでしょう。

サーキュラーデザインを構成する4つのプロセス

サーキュラーエコノミーをリードする団体としてエレン・マッカーサー財団があげられます。

同団体は、サーキュラーデザインが以下のプロセスで構成されると考えています。

 

【4つのプロセス】

  1. Understand:製品に関連する利用者と仕組みを理解する
  2. Define:理解から導き出された課題とデザイナーの意図・目的を言語化する
  3. Make:できるだけ多くの試作モデルをつくる
  4. Release:デザインを社会に打ち出し、意図・目的をストーリーとして伝える。これにより、顧客ロイヤリティを高め利害関係者を惹きつける

 

実際のデザインでは、上記のプロセスを繰り返します。

反応を確かめながら、精度を高めていくことが大切です。

サーキュラーデザインの6つの戦略とは

エレン・マッカーサー財団は、サーキュラーデザインを実現する6つの戦略も提唱しています。

具体的な戦略は次のとおりです。

 

①システム内側でのループ

エレン・マッカーサー財団は、サーキュラーエコノミーの3原則を掲げています。

 

【3原則】

  • 廃棄物と汚染を生み出さない
  • 製品や素材を流通・循環させる
  • 自然を再生させる

 

これらを図に表したものをバタフライダイアグラムといいます。

バタフライダイアグラムには、枯渇性資源のサイクルを示す技術的サイクルと再生可能資源のサイクルを示す生物的サイクルが示されています。

 

たとえば、技術的サイクルは「メンテナンス・修理・シェア」「リユース・再分配」「再製造・回収」「リサイクル」で構成されます。

これらから外れると、回収されて埋立へと進む点がポイントです。

したがって、サーキュラーデザインにより、以上のサイクルの中で循環させることが大切です。

 

②「製品の所有」から「サービスの利用」への転換

「製品の所有」から「サービスの利用」へシステムの転換を図ることも戦略のひとつです。

具体的な取り組みとして、サブスクリプションサービス、シェアリングサービス、リースサービスなどが考えられます。

 

これらの取り組みにより、さまざまな効果を期待できる点がポイントです。

たとえば、自動車のシェアリングサービスでは、保有台数を減らし資源の無駄遣いを防げる、走行距離を減らしCO2排出量を削減できるなどの効果を期待できます。

システムを転換するため、消費者が製品を保有する必要性について考えてみるとよいでしょう。

 

③製品の長寿命化

製品の寿命を延ばすことも、戦略のひとつとして掲げられています。

具体的な取り組みとして、部品の耐久性を高める、修理しやすい製品にするなどが考えられます。

これらにより、寿命を延ばせると、廃棄物を減らせる点がポイントです。

 

たとえば、家電のバッテリーを簡単に交換できるようにしておくと、長く使い続けられるため廃棄物を減らせるでしょう。

買い替えコストがかからなくなる点も見逃せません。

消費者にもメリットがあるため、狙い通りの行動を促しやすいと考えられます。

 

④安全で再生可能な素材の利用

安全かつ再生可能な素材を使用することも、サーキュラーデザインの戦略です。

このような素材を使用することで、サーキュラーエコノミーに適合させつつ、消費者にとってより良い製品を構築できます。

具体的な取り組みとして、一般的なプラスチックではなくバイオプラスチックを使用するなどが考えられます。

 

バイオプラスチックは、一般的なプラスチックが抱える問題を解決するために開発されたプラスチックです。

生物由来のバイオマスプラスチックと水と二酸化炭素に分解される生分解性プラスチックで構成されます。

使用する素材まで意識を向けることで、資源の循環を促しつつ、消費者の安全性も高められます。

 

⑤デジタル化と脱物質化

デジタル化、脱物質化も、サーキュラーデザインの戦略としてあげられています。

使用する資源と廃棄する資源を減らせるためです。

 

デジタル化、脱物質化の例として、音楽のストリーミング配信があげられます。

この影響などをうけ、CDの生産数量は大きく減少しています。

ただし、ICT利活用に伴う電力消費量の増加には注意が必要です。

 

2030年に、ICT関連機器の使用電力量が現在の年間使用電力量を超えるという予測もあります。

地球温暖化への影響が懸念されています。負の影響も踏まえて、デジタル化、脱物質化を進めることが大切です。

 

出典:総務省「情報通信白書 令和4年版」

 

⑥製品のモジュール化

製品のモジュール化もサーキュラーデザインの戦略です。

モジュール化は、製品をそれぞれが独立した機能を果たすユニットに分けて設計することと説明できます。

ユニット単位で扱えるため、修理やカスタマイズ、アップグレードが容易になります。

使用済みの製品を再生しやすくなる点もポイントです。

 

モジュール化は、製品の寿命を延ばす有効な戦略といえるでしょう。

モジュール化の例としてパソコンがあげられます。パソコンは、部品単位で交換できるため、修理やカスタマイズなどを簡単に行えます。

サーキュラーデザインの具体事例

 

ここからは、サーキュラーデザインの事例を紹介します。

 

なお、本記事内で紹介する事例は、あくまで一般的に有名な企業の取り組みであり、株式会社JEMSの事例ではありません。

 

Allbirds

ニュージーランド発のアパレルブランドです。

2025年までに全製品のカーボンフットプリントを半減すること、2030年までに全製品のカーボンフットプリントをほぼゼロにすることを目標に掲げています。

つまり、カーボンニュートラルなビジネスを目指しています。

2023年における目標達成率は60%(2025年目標に対して)です。

 

大きな特徴として、石油由来の合成素材ではなく、人と地球にやさしい素材を使用していることがあげられます。

具体的には、ウール、ツリーなどの再生可能な天然素材、リサイクルボトルなどの代替素材を使用しています。

 

出典:Allbirds

 

アイカサ

東京、神奈川、千葉、大阪、愛知、福岡などで、傘をシェアするサービスを展開しています。

 

基本的な利用方法は次のとおりです。

 

【利用方法】

  1. アイカサアプリをインストールする
  2. アイカサアプリで現在地周辺のアイカサスポットを探す
  3. アイカサスポットに移動して傘を借りる
  4. 目的地に着いたら近くのアイカサスポットで傘を返す

 

国内における洋傘の年間消費量は推計で1億2,000~3,000本です。

うち、6~7割がビニール傘と考えられています。アイカサは、傘のシェアで2030年に使い捨て傘ゼロを目指しています。

 

出典:アイカサ

出典:日本洋傘振興協議会「よくある質問」

 

DYCLE

保護者と赤ちゃんに、植物由来の素材で作られた堆肥化できるおむつを提供しています。

使用済みのおむつは回収されて腐植土に変換されます。1人の赤ちゃんから生産できる腐葉土は1カ月あたり75リットル以上です。

 

この腐植土を使って、再び植物を育てられる点がポイントです。

 

DYCLEは、堆肥化できるおむつとおむつの収集システムを使って、家庭廃棄物の削減と資源の循環を目指しています。

 

出典:DYCLE

 

TRANSPARENT

機能的でありながら持続可能なオーディオ製品を提供しているスウェーデンのブランドです。

スピーカーやターンテーブルなどを扱っています。特徴は、製品が完全にモジュール化されていることです。

 

したがって、すべての部品を交換したりアップグレードしたりできます。

たとえば、ワイヤレスチップだけ交換することもできるため、購入した製品を長く使い続けられます。

 

出典:TRANSPARENT

持続可能な発展を後押しするサーキュラーデザイン

ここでは、サーキュラーデザインについて解説しました。

 

簡単に説明すると、サーキュラーエコノミーを実現するデザインです。

サーキュラーエコノミーは、資源を循環利用して価値を生み続ける新たな経済システムといえるでしょう。

持続可能な発展を追求するため、サーキュラーデザインが不可欠になると考えられます。

 

サーキュラーデザインを実現する戦略として、デジタル化・脱物質化、再生可能な素材の利用などがあげられます。

この記事の内容をもとに、自社のビジネスについて見直しを進めてみてはいかがでしょうか。

 

 


 

JEMSでは、企業のサーキュラーエコノミーへの取り組みに貢献するソリューションを提供しています。

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