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バタフライダイアグラムとは?概要を徹底的に解説

2023/10/04

2024/3/16

  • サーキュラーエコノミー
  • 循環型社会

近年注目を集めている経済システムである、サーキュラーエコノミーのなかに、「バタフライダイアグラム」という概念があります。

企業がこれらを事業に取り入れていくためには、まずは基本的な考え方を理解することが不可欠です。

 

本記事では、サーキュラーエコノミーとバタフライダイアグラムの概要をそれぞれ解説します。

自社における取り組みを目指している担当者様は、ぜひ最後までご覧ください。

 

企業のサーキュラーエコノミー・資源循環の取り組みをDXでサポート

サーキュラーエコノミーとは

サーキュラーエコノミーとは、資源や製品などを可能な限り長く利用しつづけながら、廃棄物の量を最小化し、原則ゼロにすることを目標とする、新たな経済システムのことです。

日本語では、「循環型経済」という意味の用語になります。

 

現在は、リニアエコノミーという、製品を大量生産・大量消費し、破棄する一方通行型の経済システムが主流で、それにより資源の枯渇や廃棄物の処理が社会的問題になっています。

リニアエコノミーでは、3R(リデュース・リユース・リサイクル)が推奨されているものの、一部の製品にとどまっているのが現状です。

 

SDGsで環境を保全しつつ、経済の活性化を目指す仕組みづくりが求められるなかで、サーキュラーエコノミーが注目され始めたというわけです。

 

サーキュラーエコノミーでは、製品が利用されている瞬間を一番価値のある状態だと考えます。

製品が利用されている状態をいかに長くできるかを重視し、利用後の修理や再利用を推進するビジネスモデルにも重点を置いているので、それに必要な雇用も生み出されています。

 

このように、サーキュラーエコノミーは、環境に優しいだけでなく、新たな雇用の創出をはじめとする、持続可能な経済活動をも見据えているのです。

 

関連記事:サーキュラーエコノミーとは?3原則や取り組みを解説

バタフライダイアグラムとは

実際に、サーキュラーエコノミーへと移行していくためには、サーキュラーエコノミーの根幹をなす概念を図示した「バタフライダイアグラム」の理解が重要になってきます。

 

バタフライダイアグラムは、「資源」「経済システム」「経済システムによってもたらされる、廃棄や環境汚染などの負の外部性」の3つの階層に分かれています。

この図がまるで、羽を広げた蝶のように見えるのが名前の由来です。

 

限りある資源を利用していく過程で、消費者や利用者から循環サイクルに戻す流れをつくれば、廃棄や環境汚染をなくせるというサーキュラーエコノミーの考え方を表しています。

 

図の左右は異なる循環サイクルを示し、左側の円が「生物的サイクル」、右側の円が「技術的サイクル」とよばれており、詳細に関しては後述します。

 

さて、バタフライダイアグラムを理解するには、イギリスのエレン・マッカーサー財団が提唱した「サーキュラーエコノミーの三原則」を忘れてはなりません。

 

【サーキュラーエコノミーの三原則】

  • Design out waste and pollution(廃棄物と汚染があらかじめ出ないように設計する)
  • Keep products and materials in use(製品と原材料を使いつづける)
  • Regenerate natural systems(自然の仕組みを再生する)

 

ここからは、サーキュラーエコノミーの三原則の各項目について解説していきます。

 

Design out waste and pollution(廃棄物と汚染があらかじめ出ないように設計する)

三原則のうち、サーキュラーエコノミーの本質をもっともよく表しているのが、「Design out waste and pollution」です。

 

廃棄物の減少や製品の再利用、資源の再活用を目的とする3Rでは、廃棄物が出ることが前提となっています。

 

一方で、サーキュラーエコノミーの循環サイクルのなかに、廃棄物は存在しません。
これは、サーキュラーエコノミーの主軸である「廃棄物を原則ゼロにする」という概念を具現化しているからです。

 

つまり、廃棄物が出てから対処していた従来の取り組みとは異なり、そもそも廃棄物が出ないように、製品やサービスの設計段階からアプローチするということなのです。

 

Keep products and materials in use(製品と原材料を使いつづける)

「Keep products and materials in use」は、製品を生産する際に、利用後の製品を資源として再利用することを想定するという意味です。

 

ここで注目したいのは、製品だけではなく原材料という言葉が盛り込まれている点です。
製品としてそのまま、あるいは形状を変えても使いつづけることが優先されますが、その後は分解・溶解を通じて、原材料に戻して使うことが重要であることを示します。

 

新たな資源を調達する必要がなければ、環境への負荷を軽減できるうえに、持続可能な生産へとつながります。
そのためには、製品を設計する段階から、耐久性に優れ、再利用しやすい部品や素材を選ぶことが大切です。

 

また、製品や原材料には資源自体だけではなく、資源の採掘に要したエネルギーや労働力なども含まれているため、これらの保全にも役立ちます。

 

Regenerate natural systems(自然の仕組みを再生する)

「Regenerate natural systems」は、本来自然がもっていた循環する仕組みを再び機能させ、もとの状態に戻すということです。

 

たとえば、生物多様性で重要な役割を果たす、サンゴやミツバチのすみかを回復させて土壌の改良を図ることや、植物の力を活用して土壌汚染を食い止めることなどが該当します。
これらの行動によって生物多様性が守られ、土壌が豊かになり、人々は自然からの恩恵を受けるといった、良い循環を保つことができます。

 

自然の再生には、人間が自然に悪影響を与えるスピードを緩めるだけでなく、人間の行動によって自然の仕組みを整え、積極的に改善していくことが重要です。

生物的サイクルと技術的サイクル

冒頭で、バタフライダイアグラムにおける、左側の円が「生物的サイクル」、右側の円が「技術的サイクル」を示すとご説明しました。
サーキュラーエコノミーの観点から見ると、この円が小さいほど経済効果が高いとされています。

ここからは、生物的サイクルと技術的サイクルの概要をそれぞれ見ていきましょう。

 

生物的サイクル

生物的サイクルとは、木材・綿・食品など再生可能な資源の循環サイクルのことです。

 

これらの資源は、消費されても微生物による自然の分解を経て再生され、またもとのサイクルへとつながっていきます。
つまり、製品として利用したあと、自然の仕組みのなかに戻して循環させていくわけです。

 

【生物的サイクルの一例】

  1. 木材を建築材料に使用する
  2. 経年劣化により建材としての役目を終えたら、家具をつくる
  3. 家具としての役目を終えたら、紙チップやボード材に加工する
  4. 再利用できない部分を燃やして、バイオマスエネルギーに転換する

 

このように、当初の目的や役目を終えてもそこで廃棄するのではなく、素材そのものがもつ特性と向き合い規模や階層を下げていけば、より長く使っていくことができます。

 

技術的サイクル

技術的サイクルとは、自動車・プラスチック・化学物質をはじめとする、そのまま自然に戻すと環境に悪影響がもたらされる枯渇性資源の循環サイクルのことを指します。

 

限りある資源を最大限有効利用するために、数年利用したら壊れる製品を販売するビジネスモデルからの脱却を図る必要があります。
そのうえで、製品が利用者から必要とされなくなった場合、シェアや再分配できるプラットフォームや、生産者が確実にリサイクルできる仕組みを完成させることが重要です。

 

そうすることで廃棄物の量は確実に減り、ゆくゆくは廃棄物自体がなくなる世界を実現できるはずです。

バタフライダイアグラムへの理解が持続可能な経済活動の実現につながる

本記事では、サーキュラーエコノミーとバタフライダイアグラムの概要を解説しました。

 

サーキュラーエコノミーは、「循環型経済」を意味し、廃棄物の量を最小化する新たな経済システムです。

この経済システムへと移行していくには、この根幹をなす概念を図示した「バタフライダイアグラム」がカギとなります。

 

 


 

JEMSでは、サーキュラーエコノミーの実現に向け資源循環の価値証明サービス「Circular Navi」の提供を2022年4月に開始しました。

すでにプラスチックの資源循環をはじめとした実証実験などにご活用いただいています。

その他にも、一般廃棄物を削減するための回収量の見える化などのさまざまな取り組みを支援しています。

 

今後も約30年にわたる廃棄物管理の分野で培ったノウハウとパートナーシップをもとに再生材や再生材利用製品の価値を最大化することで企業の循環型ビジネスの構築を支援していきます。

サーキュラーエコノミーに主体的に取り組もうとお考えの皆様のパートナーであり続けることを目指しています。

ぜひ、Circular Naviをご活用ください。

 


 

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