3Rとは|具体的な取り組みと注目を集める背景
2024/04/17
2024/6/5
世界経済のトレンドとなりつつあるのがサーキュラーエコノミー(循環型経済)です。
環境省は、サーキュラーエコノミーを次のように説明しています。
従来の3Rの取組に加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動
サーキュラーエコノミーでも3Rは重要な取り組みと考えられます。
ここでは、3Rの概要と具体的な取り組みを解説するとともに、3Rが注目を集める背景などを紹介しています。
サーキュラーエコノミーや3Rに興味がある方は確認しておきましょう。
3Rについて
3RはReduce・Reuse・Recycleの頭文字です。
それぞれのRの意味は次のとおりです。
3つのR | 意味 |
Reduce | ゴミを減らす |
Reuse | 使えるものは繰り返し使う |
Recycle | ゴミを資源として再利用する |
3Rは、2004年のG8サミットで提案された「3Rイニシアティブ」をきっかけに普及しました。
3Rイニシアティブの目的は循環型社会の構築です。
3Rの特徴は、発生したゴミの削減(ゴミは出るものが前提)に焦点をあてていることといえるでしょう。
サーキュラーエコノミーは、ゴミを発生させないこと(ゴミをゼロにすること)に焦点をあてています。
関連記事:サーキュラーエコノミーとは?3Rとの違い、3原則や取り組みを解説
Renewable(リニューアブル)とは
3Rに加えて、注目を集めているのがRenewable(リニューアブル)です。
最近では「3R+Renewable」といわれることもあります。
Renewableは日本語で「再生可能な」などと訳される英単語です。
具体的には「再生できる資源へ取り替える」取り組みを指します。
たとえば、ショッピングバッグに使用する原料を、プラスチックからバイオマスプラスチックに変更するなどが該当します。
バイオマスプラスチックは、植物などの生物資源からつくられたプラスチックです。
再生できる原料を使用しているため資源を循環させられます。
また、燃焼したときに発生するCO2と植物が吸収するCO2が等しくなると考えられます。
Renewableの基本的な考え方は、環境負荷の高い原料を循環型の原料へ変更していくことです。
日本国内では、既にRenewableに基づく取り組みが進んでいます。
一例としてあげられるのが「プラスチック資源循環戦略」に基づく「バイオプラスチック導入ロードマップ」です。
本ロードマップに従い、2030年までにバイオマスプラスチックの導入(最大200万トン)を目指しています。
3Rの具体例
3Rは、具体的にどのような取り組みなのでしょうか。
Reduce・Reuse・Recycleにわけて、企業や家庭で行える取り組みを紹介します。
Reduce(リデュース)
Reduceは、製品の製造過程で使用する原料を少なくしたり廃棄物の発生を減らしたりする取り組みです。
簡単に説明すると、ゴミの発生を減らす取り組みといえるでしょう。
主な取り組みは次のとおりです。
【事業者ができるReduceの例】
- メンテナンス体制を整えて製品の寿命を延ばす
- 耐久性の高い部品を使って製品の寿命を延ばす
- できるだけ少ない部品で製品を組み立てる
- 原材料を効率よく使用して無駄をなくす
- 製品の包装や梱包を簡素にする
【消費者ができるReduceの例】
- よく考えて無駄なものを購入しない
- 長期間にわたり使用できるものを選ぶ
- 詰め替えパックなどを活用して梱包を簡素化する
- マイバッグを使用して包装を簡素化する
- あまり使わないものはレンタルサービスの活用を検討する
製品の寿命を延ばすこともReduceに該当します。
さまざまな取り組みを行えるといえるでしょう。
Reuse(リユース)
Reuseは、使い終えた製品や部品などを再び使用することです。
身近なReuseの例として、古着や古本があげられます。
Reuseを徹底することで、資源の使用量を減らせるでしょう。
企業や家庭で取り組めるReuseの例は次のとおりです。
【事業者ができるReuseの例】
- 消費者がReuseしやすい製品を心がける
- 使用済みの製品を回収して再生する仕組みをつくる
- 詰め替えられるプリンターのインクなどを使用する
【消費者ができるReuseの例】
- 不用品を捨てずにフリマアプリなどで売る
- メーカーのリユース回収などをできるだけ利用する
- 新品にこだわらず商品を選ぶ
- 詰め替え式の商品を選ぶ
Reuseも工夫すればさまざまな取り組みを行えます。できることから始めてみるとよいでしょう。
Recycle(リサイクル)
Recycleは、使い終えた製品などをエネルギー源として利用することです。
使い終えた製品の再資源化といえるでしょう。
身近な例として、洋服などのダウンを回収、再利用して新たなダウン商品を製造するリサイクルダウンがあげられます。
企業や家庭で取り組めるRecycleの例は次のとおりです。
【事業者ができるRecycleの例】
- Recycleを見据えた製品を製造する
- リサイクルされた原材料を積極的に活用する
- 使い終えた自社製品の回収とリサイクルに努める
- 製造過程で生じる副産物の活用方法を考える
【消費者ができるRecycleの例】
- ルールに基づくゴミの分別を徹底する
- リサイクル製品を選択する
- リサイクルできる製品を選択する
リサイクル製品を製造するとき、選択するときは、温室効果ガスの排出に注意が必要です。ケースによっては、新品のほうが環境に負荷をかけにくいこともあります。詳細を確かめてから取り組むことが大切です。
3Rが重要視される背景
どのような理由で企業や消費者から3Rは注目を集めているのでしょうか。
注目を集める背景を解説します。
天然資源の減少
3Rが重視される理由のひとつとして天然資源の減少があげられます。
私たちの生活を支える資源は、量が限られていて消費スピードより供給スピードが遅い枯渇性の資源と再生できる再生可能な資源に分かれます。
減少が指摘されているのは枯渇性の資源です。
代表例として化石燃料、金属、鉱物があげられます。
たとえば、石油の生産は2010~2030年にピークを迎えて、その後は減少するという説があります。
発展途上国で需要が増大すると、供給が需要に追いつかず危機的な状況になると考えられている点がポイントです。
この説に対して疑問を投げかける方もいますが、私たちの生活が化石燃料を始めとする枯渇性の資源に依存していることは間違いありません。
資源枯渇の可能性を踏まえて、3Rに取り組む必要があると考えられているのです。
地球温暖化の進行
地球温暖化の進行も3Rが注目を集めている理由といえるでしょう。
地球温暖化に大きな影響を与えているのが私たちの活動に伴う温室効果ガスの排出です。
気候変動に関する政府間パネルで取りまとめられた「第5次評価報告書統合報告書」で以下の点が指摘されています。
人為起源の温室効果ガスの排出が20世紀半ば以降に観測された温暖化の支配的な原因であった可能性が極めて高い。
今後のリスク、影響として以下の点が指摘されている点もポイントです。
温室効果ガスの継続的な排出は、更なる温暖化と気候システムの全ての要素に長期にわたる変化をもたらし、それにより、人々や生態系にとって深刻で広範囲にわたる不可逆的な影響を生じる可能性が高まる。
人間の活動に伴い排出される主な温室効果ガスは二酸化炭素です。
2021年度における二酸化炭素排出量の割合は、40.4%がエネルギー転換部門(発電所など)、25.3%が産業部門(工場など)、14.7%が家庭部門です。
したがって、会社でも家庭でも3Rが求められているといえるでしょう。
出典:全国地球温暖化防止活動推進センター「日本の部門別二酸化炭素排出量(2021年度)」
SDGsの推進
SDGsの推進も3Rが注目を集める背景としてあげられます。
SDGsは、持続可能でよりよい世界を実現するために設けられた17の目標です。
3Rと特に関わりが深い目標として「目標12.つくる責任つかう責任」と「目標14.海の豊かさを守ろう」があげられます。
目標12では、次の達成目標などが掲げられています。
【目標12の達成目標】
- 2030年までに、天然資源を持続的に管理し、効率よく使えるようにする
- 2030年までに、ごみが出ることを防いだり、減らしたり、リサイクル・リユースをして、ごみの発生する量を大きく減らす
目標14の主な達成目標は次のとおりです。
【目標14の達成目標】
- 2025年までに、海洋ごみや富栄養化など、特に陸上の人間の活動によるものをふくめ、あらゆる海の汚染をふせぎ、大きく減らす。
- あらゆるレベルでの科学的な協力をすすめるなどして、海洋酸性化の影響が最小限になるようにし、対策をとる。
海洋酸性化は、人為的な活動で放出された二酸化炭素を吸収して海水が酸性になることです。
これらの目標を達成する手段として3Rが注目を集めているといえるでしょう。
最終処分場の不足
日本国内における最終処分場の不足も3Rが注目を集める理由です。
「令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」で、2019年末時点における最終処分場の残余年数が全国平均で21.4年であることが示されました。
このままのペースでゴミが発生し続けると、近いうちにゴミを埋め立てる場所がなくなる可能性があります。
ゴミを埋め立てる場所がなくなると、ゴミを収集できなくなるでしょう。
つまり、毎日の生活からゴミを取り除けず、不衛生な環境になってしまう恐れがあるのです。
衛生的な環境を維持するため、ゴミを減らす取り組みが求められています。
具体的な取り組みとして、3Rが注目を集めていると考えられます。
日本における3R
日本国内では、3Rに関連するさまざまな取り組みが行われています。
一例としてあげられるのが環境ラベルです。
環境ラベルは、環境負荷の低減にどのように貢献するかを示すラベルといえるでしょう。
このラベルを活用することで、環境保全に貢献している商品を選びやすくなったり、再生紙を使用している商品を選びやすくなったりします。
グリーン購入法も3Rに関連する取り組みとしてあげられます。
同法は、国や独立行政法人などに環境物品などの優先的な購入を義務づけた法律です。
地方公共団体などは努力義務、事業者、国民は一般的責務が課されています。
これらの取り組みにより、需要の転換と持続的発展を目指している点がポイントです。
3Rを学べる資料
ここからは、3Rを学べる資料を紹介します。
環境省「3Rまなびあいブック」
容器包装廃棄物排出抑制推進員が市民を対象に行う3R普及啓発活動、暮らしの中で取り組む3R活動、子どもが家庭や学校で学ぶ3R活動などを支援するため、環境省が発行している資料です。
単に知識を紹介するだけでなく、楽しみながら学びを進められるように工夫している点が特徴です。
環境省「こども環境白書」
小学校高学年以上の子どもを対象に、環境省が発行している資料です。
「環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」の内容をもとにしています。
気づくきっかけ、考えるきっかけ、行動するきっかけを多く含む点が特徴です。1人ひとりの行動を見直し、変えていくツールとして作成されています。
経済産業省「3R いま地球のためにできること」
親子で3Rについて学べるパンフレットです。
経済産業省が発行しています。
暮らしをテーマに3Rを解説している点が特徴です。
具体的な取り組みをわかりやすく掲載している点も見逃せません。
3Rについて理解を深められるでしょう。
3Rは企業にとっても欠かせない活動
ここでは3Rについて解説しました。3RはReduce・Reuse・Recycleで構成される取り組みです。
天然資源の減少、地球温暖化の進行、最終処分場の不足などを受けて、企業も取り組みを求められています。
具体的な活動として、製品の寿命を延ばす、回収と再生する仕組みをつくる、リサイクル原材料を積極的に使用するなどが考えられます。
社会の動向を踏まえて前向きに取り組むことが大切です。
積極的な取り組みは、企業価値の向上などにもつながる可能性があります。
JEMSでは、企業のサーキュラーエコノミーへの取り組みに貢献するソリューションを提供しています。
Circular Naviは、企業のサプライチェーンのトレーサビリティーや再資源化率の可視化などによって、製品ごとに環境価値を提示することができます。
ぜひ、Circular Naviをご活用ください。