4月より施行したイギリスのプラスチック包装税とは
2022/05/23
2024/1/9
- プラスチック
- 循環型社会
はじめに
イギリスでは、2022年4月1日からプラスチック包装税制度(Plastic Packaging Tax)が施行されました。この制度は、プラスチック包装材の製造業者と輸入業者を対象とし、再生プラスチックの使用量が30%未満のプラスチック製品に対して、1トン当たり200ポンド(約32,000円※)の税金が課されます。
内容
イギリスでは、包装材から発生するプラスチック廃棄物の量がプラスチック廃棄物総量の60%以上を占め、その包装材の多くはバージン材から製造されています。本制度では、バージン材ではなく、再生プラスチックの利用を促進することを目的としています。
課税対象
次の3点に該当する企業や個人が課税対象になります。
・プラスチック包装材の製造業者と輸入業者
・年間10トン以上のプラスチックを生産または輸入
・包装材の重量比で再生プラスチックの使用量が30%未満
免税対象
以下の包装材はプラスチック課税対象外となりますが、年間プラスチック製造または輸入総重量を計算する際には以下の通り条件が付与されます。
<年間の総重量より除外>
・商品の長期保管に使用されるもの(例:救急箱、工具箱等)
・商品の使用にあたり包装が不可欠なもの(例:吸入器、トナーカートリッジ)
・商品を展示するために作られ、かつ再利用できるもの(例:陳列棚、商品展示台等)
<年間の総重量へ含める>
・医薬品と直接接触する包装
・包装材以外の用途のために使用されている包装
(例:ホワイトボードのコーティングに使用されるプラスチックフィルム)
課税額
プラスチック包装材の素材1トン当たり200ポンド(約32,000円※)です。
プラスチックが部分的に使用される場合の対応
プラスチックが重量比で最大素材でない場合、プラスチックとみなされず、課税対象外となります。
プラスチックが重量比で最大素材の場合、プラスチック以外の素材の重量を明示できればその部分は課税対象外となり、明示できなければ包装材の全重量に対して課税されます。
再生プラスチック30%以上利用に関する免税申請
免税申請時に、以下の記録の提出が必要です。
・再生プラスチックが使用されている割合の計算手法
・再生プラスチックが使用されたという十分な裏付けとなる原料の証明
・構成部材が製造された日付または輸入された日付など、日付のある証拠
・製品ラインや生産工程を含めたプラスチック包装の中の各成分の割合
・再生プラスチックの中に含まれているリサイクル材の正確な割合
・再生プラスチックの調達先を確認できるもの
おわりに
プラスチックはその利便性から我々の日常生活で幅広く使われていますが、過剰な利用、不法投棄や不適正処理などによって環境に大きな影響を及ぼし、資源の枯渇、海洋汚染、地球温暖化といった世界共通の課題になっています。
プラスチックごみ問題を解決するために、2022年4月1日からイギリスはプラスチック税を導入し、日本では「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行されました。我々も日常生活の中で、プラスチックごみを減らすためにできることを考え、取り組んでみることが大切です。
※2022年5月時点のレート
参考:Check which packaging is not subject to Plastic Packaging Tax
Records and accounts you must keep for Plastic Packaging Tax
JEMSでは、サーキュラーエコノミーの実現に向け資源循環の価値証明サービス「Circular Navi」の提供を2022年4月に開始しました。
すでにプラスチックの資源循環をはじめとした実証実験などにご活用いただいています。
その他にも、一般廃棄物を削減するための回収量の見える化などさまざまな取り組みを支援しています。
今後も約30年にわたる廃棄物管理の分野で培ったノウハウとパートナーシップをもとに再生材や再生材利用製品の価値を最大化することで企業の循環型ビジネスの構築を支援していきます。
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