再生可能エネルギーとは?
2021/12/27
2021/12/27
- 再生可能エネルギー
- カーボンニュートラル
はじめに
温室効果ガスの削減に有効な再生可能エネルギー。太陽光発電や風力発電等、私たちの生活や企業の事業活動におけるエネルギーとして利用されることも多く、広く浸透してきているのではないでしょうか。
日本における再生可能エネルギーの取り組みのきっかけとなったのは、1973年に起きた第一次オイルショックです。エネルギーの8割近くを輸入原油に依存していた日本は混乱し、エネルギーに対する危機感が高まりました。そのような状況の中、通商産業省(現経済産業省)は「サンシャイン計画」という名称で、太陽光発電、地熱利用、水素エネルギー等の研究を進めます。しかし、この計画では十分な電力を得るところまで行かず、実用化に至りませんでした。
また、1980年には、エネルギーの安定的な供給を目的として、「石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律」(現称「非化石エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律」)が策定され、国の石油代替エネルギーの供給目標等を定め、事業者にその導入について努力義務が課されました。この法律により割合が大きくなっていったのが、石炭、LNG(液化天然ガス)、原子力です*1。そして、再生エネルギーの本格的な導入が進められたのは、2011年の東日本大震災以後です。原子力による電力供給が大きく見直されたことが、再生可能エネルギー導入の契機となりました。
*1(出典:資源エネルギー庁「エネルギー白書2021 発電電力量の推移」)
再生可能エネルギーの定義
再生可能エネルギーについて、各法律において下記のとおり定義されています。
「エネルギー供給構造高度化法」
太陽光、風力、その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの
(施行令においては、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱、その他の自然界に存する熱、バイオマスが挙げられている。)
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」
・太陽光
・風力
・水力
・地熱
・バイオマス(動植物に由来する有機物であってエネルギー源として利用することができるもの)
・原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される製品以外のエネルギー源のうち、電気のエネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの
太陽光や風力等、馴染みのある発電方法(詳細な内容はコラム「グリーン電力とは?」参照)のほか、冬の間に降った雪や、冷たい外気を使って凍らせた氷を保管し、夏季に冷熱として活用する雪氷熱利用や、波の力を利用してタービンを回し発電する波力発電も再生可能エネルギーとして定義されます。
再生可能エネルギー普及の切り札「洋上風力発電」
原子力から再生可能エネルギーへの転換が行われてきたものの、国内の電源構成として再生可能エネルギーの割合は2019年で18%と、まだ主力電源とは言えない状況です。
経済産業省による政策の検討段階では電源構成の目標値を2030年までに22~24%としていましたが、令和3年10月22日に閣議決定された第6次エネルギー基本計画においては、2030年までに2019年の倍となる36%~38%に引き上げられました。
(出典:資源エネルギー庁「エネルギー基本計画の概要」)
同計画による再生可能エネルギーを主力電源化するための具体的内容や、令和4年度の経済産業省、環境省の重点施策を見てみると、“洋上風力”という言葉が目につきます。
洋上風力発電は、海の上に設置された風車が発電し、ケーブルを介して電力を供給する仕組みです。「近隣住宅への騒音問題が起こらない」「陸上より風力を得やすい」「土地や道路の制約がない」といったメリットがあり、大量導入することが見込まれ、コスト低減や経済波及効果も期待されることから、主力電源化に向けた切り札とされています。
まとめ
再生可能エネルギーは私たちの生活や企業の事業活動におけるエネルギーとして利用されることも多く、認知される存在となりました。定義としてはガソリン等の化石エネルギーではない、永続して利用し続けられるエネルギー源とされており、太陽光発電、風力発電等、馴染みのあるもののほか、冬の間の雪や保管した氷を冷熱として活用する雪氷熱利用や波の力を利用して発電する波力発電等も再生可能エネルギーにあたります。
令和3年10月22日に閣議決定された第6次エネルギー基本計画では再生可能エネルギーの割合を2030年までに36%~38%にすることを目標としており、その具体的な方法として、経済産業省や環境省の重点施策も合わせて見ると“洋上風力”という言葉が目につきます。次年度の環境省の概算要求では“洋上風力”の名目で補助金が計画されており、構成機器・部品の製造は、国内の製造業において新たな事業となることからも、今後の動向に目が離せません。