食品リサイクル・ループとは?
2021/11/01
2021/11/17
- リニアエコノミー
- 循環型社会
はじめに
高度成長期からの日本では、大量生産・大量消費型の経済構造により、生産・流通・消費段階において生じた大量の食品廃棄物は再生利用されずに大量に廃棄されていました。
食品廃棄物の発生抑制及び再生利用を促進するため、2000年に「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(食品リサイクル法)が公布され、食品廃棄物のうち有用である食品循環資源を肥料・飼料化による再生利用の食品リサイクル・ループ(再生利用事業計画)の認定制度が制定され、これまでの大量生産・大量消費型社会から循環型社会へのシフトが始まりました。
内容
食品リサイクル・ループとは、食品リサイクル法に基づく再生利用事業計画の取り組みの一環として、食品廃棄物等を排出する食品関連事業者、肥料や飼料等を再生する再生利用事業者、その肥飼料を利用する農林漁業者等の三者の連携により、食品循環資源の再生利用を推進して地域循環共生圏を実現するための循環型モデルです。
食品関連事業者から排出された加工残渣、売れ残りや食べ残し等が、再生利用事業者により肥料・飼料等として再生され、農林漁業者がその肥料・飼料等を利用して農畜水産物等を生産し、生産された農畜水産物をまた食品関連事業者へ提供することで循環を実現します。
出典:(一財)食品産業センター
事例
①飼料化を行う食品リサイクル・ループ
山崎製パン(株)の札幌工場から排出される食品循環資源が、再生利用事業者である(株)エコフィールドにて飼料化され、農林漁業者である(株)ホクリヨウがその飼料を利用して生産した鶏卵が山崎製パン(株)札幌工場の社員食堂へ提供されています。
(出典:農林水産省「食品リサイクル法に基づく再生利用事業計画の認定実例」)
②肥料化を行う食品リサイクル・ループ
スーパーマーケットである(株)マエダの店舗から排出される食品循環資源が、再生利用事業者である(有)浜道清掃社にて肥料化され、東通村の農業者がその肥料を利用して農産物を生産し、(株)マエダの店舗がその農産物を購入して販売しています。
出典:農林水産省「食品リサイクル法に基づく再生利用事業計画の認定実例」
まとめ
食品循環資源の再生利用の促進措置の一つとして、食品リサイクル・ループの認定制度(再生利用事業計画認定制度)が設けられています。認定された場合、一般廃棄物の収集運搬許可が不要、肥料取締法及び飼料安全法における製造、販売等の届出が不要の特例措置が受けられます。平成19年の改正により、荷卸し地だけではなく、計画範囲内の荷積み地についても一般廃棄物の収集運搬許可が不要となりました。
食品リサイクル法の施行以来、食品循環資源再生利用の実施が着実に進み、平成30年度では食品産業全体の再生利用等の実施率は83%に達していますが、食品流通の川下の事業者である小売業では51%、外食では31%に止まっており、食品関連事業者の取り組みに格差が見られています。
小売業及び外食業では多店舗、少量排出、異物混入等の理由で全体排出実態の把握が難しく効率的に再生利用を行うことが困難です。これらの店舗の食品廃棄物の排出実態の見える化を実現し、適切なリサイクルの目標の設定や食品リサイクル・ループの構築の検討が必要となっています。