プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律とは?
2021/10/25
2022/2/4
- リニアエコノミー
- 循環型社会
はじめに
2021年10月18日掲載いたしました「プラスチック資源循環戦略とは?」に関連して、新たに施行されるプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律について解説いたします。
この新たな法律は2018年6月に策定されたプラスチック資源循環戦略の重点政策である3R+Renewableを具体化するため、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」が2021年6月11日に可決・公布、2021年10月8日に政省令案が公開され、2021年10月8~11月7日の間、意見公募が行われております。
これまでの施策として、容器包装リサイクル法改正によるレジ袋の有料化は私たちの行動変革の一助となりましたが、今回の法律では使用時の判断だけでなく、「環境に配慮した設計」「プラスチック製品の回収促進」が盛り込まれたことも大きなポイントとなります。
内容
プラスチックの資源循環の促進を総合的かつ計画的に推進するために、下記3つの段階において基本方針が策定されました。
①設計・製造段階
製造事業者等向けのプラスチック使用製品設計指針を策定し、指針に適合したプラスチック使用製品の設計を認定することで認定製品の利用を促します。
(出典:環境省『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案』より引用)
②販売・提供段階
消費者に無償で提供されるプラスチック製品を削減するため、対象製品を提供する対象業者に対し、ポイント還元や代替素材への転換を求め、消費者のライフスタイル変革を促します。
(出典:環境省『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案』より引用)
③排出・回収・リサイクル段階
これまで「容器包装プラスチック」を回収していた仕組みを活用し、プラスチック製品全般を自治体や認定の受けた事業者が回収可能とする等、あらゆるプラの効率的な回収・リサイクルを促します。
(出典:環境省『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案』より引用)
企業にとっての影響は?
今回の法令では提供段階や排出段階の対象製品・業種・発生量によっては罰則が定められており、該当する企業は注意しなければなりません。
提供段階の対象者
消費者へ無償で提供する際の対象として、12品目の製品、8業種があり、該当する企業は対応が必要となります。
【対象製品12品目】
<カトラリー類>
製 品:フォーク、スプーン、ナイフ、マドラー、ストロー
<アメニティ類>
製 品:ヘアブラシ、櫛、剃刀、シャワー用のキャップ、歯ブラシ
<クリーニング製品類>
製 品:ハンガー、衣類用のカバー
【対象8業種】
各種商品小売業、各種食料品小売業、その他の飲食料品小売業、無店舗小売業、
飲食店、持ち帰り・配達飲食サービス業、宿泊業、洗濯業
また、前年度に対象製品を5トン以上提供した場合、多量提供事業者とされ、取り組みが不十分の場合には勧告・公表・命令があり、50万以下の罰金を科される可能性があります。
排出段階の対象者
プラスチック使用製品産業廃棄物等の排出事業者も同様に、前年度の排出量が250トン以上の場合、多量排出事業者とされ、取り組みが不十分の場合には勧告・公表・命令があり、50万以下の罰金を科される可能性があります。
ただし、下記条件による小規模事業者は除くとされています。
商業・サービス業以外の会社・組合等:従業員数20人以下
商業・サービス業会社・組合等::従業員数5人以下
一般社団法人等:従業員数20人以下
まとめ
プラスチック資源循環戦略の重点政策である3R+Renewableを具体化するため、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」が2021年6月11日に可決・公布、2021年10月8日に政省令案が公開され、2021年10月8~11月7日の間、意見公募が行われております。
この法律では、設計・製造段階における認定指針の策定、消費者への販売・提供段階におけるポイント還元や代替素材への転換、排出・回収・リサイクル段階における自治体や認定事業者による回収許可、という3つの段階へのアプローチにより取り組みを進めていきます。
企業への影響として提供段階や排出段階の対象・業種・発生量によっては罰則が定められており、該当する企業は注意しなければなりません。
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「解説!!『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律』②~廃棄物処理法とは異なる「多量排出事業者」について~」
「解説!!『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律』③~「特定プラスチック使用製品」と新しい「当たり前」について~」
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