ミツカングループ国内7社と74排出拠点すべての廃棄物管理を 「環境マネジメント業務支援サービス」の導入で集約。 業務の効率化とコンプライアンス強化を実現。
株式会社Mizkan Partners 様
株式会社Mizkan Partners(以下、Mizkan Partners)は1804年(文化元年)創業のミツカングループの、日本+アジア事業における内務(バックオフィス部門)を担当する会社です。ミツカングループでは、2013年からJEMSの「電子マニフェストサービス(GENESYS-ECO)」を順次各工場で導入してきました。2023年より「環境マネジメント業務支援サービス」を導入し、各工場の廃棄物管理をMizkan Partnersに集約するとともに、営業拠点における廃棄物管理もスタートさせました。2013年当時の導入の経緯、2023年に管理を集約して全拠点での導入、そして導入効果について、Mizkan Partners 品質環境部 部長 有冨菜穂子様、品質環境部 品質環境企画室 室長 長尾由佳様、同企画室の内藤博行様に詳しくお伺いしました。
ミツカングループ社員数:約 3,700名 内 国内社員数 2,063名(男 1,476名、女 587名)※2023年4月1日時点
ホームページ: https://www.mizkan.co.jp/
株式会社Mizkan Partners
本社所在地:愛知県半田市中村町2-6
事業内容:日本+アジアにおける内務機能
1.220年の長きにわたり、変革と挑戦を積み重ねるミツカングループ
――Mizkan Partnersについて教えてください。
Mizkan Partnersは日本+アジア事業における、内務を担当する会社です。
ミツカングループの歴史は、1804年、初代中野又左衛門が、お酒づくりから生じた酒粕を原料に、発酵という自然の力を活かしてお酢をつくるという、環境にやさしい挑戦から始まりました。以来、220年の長きにわたり、変革と挑戦を積み重ね、今では日本に留まらず、アジア、北米、欧州に活動の場を広げ、グローバルに事業を展開しています。
ミツカングループは、「やがて、いのちに変わるもの。」というグループビジョンスローガンを掲げています。この言葉は、ミツカングループが目指したい食や社会・環境の世界観を表現したものであるとともに、人々のいのちの源となる食品をお届けするという、大きくて重い責任を担う覚悟を表した言葉です。私たちは、この世界観の実現に向けて、これからも変革と挑戦を続けていきます。
当社はいわゆるバックオフィスといわれる部門で、経理、総務などの部門とともに、品質環境部では品質保証と環境管理を担当しています。排出事業者としては、株式会社 Mizkanをはじめとしたグループ会社が対応していますが、それら環境に関するものを取りまとめ、管理しているのが品質環境部 品質環境企画室になります。
2.産業廃棄物管理の見直しをきっかけに「電子マニフェストサービス」を導入
――Mizkan Partnersでは10年以上前よりJEMSの「電子マニフェストサービス(GENESYS-ECO)」を活用されています。当時、導入されたきっかけを教えてください。
2010年に産業廃棄物の管理を見直すことになり、契約書、許可証、マニフェストの正しい運用・保管の状況を一斉点検しました。見直しの中で電子マニフェストを使うことにより、コンプライアンスを比較的保ちやすいのではないかという意見が出てきました。
JEMSの「電子マニフェストサービス(GENESYS-ECO)」を導入したのは2013年からで、最初は本社の総務部門と情報システム部門で導入しました。当該部門に導入したのは、自分たちと同じ法人で同じ場所にあった方が、システムの内容把握もしやすく、管理もしやすいことからです。
2014年には物流拠点での製品廃棄の管理にも導入しました。納品期限を超過してしまった製品は物流拠点で廃棄を行っており、規模が小さな拠点も多くあり、電子マニフェストを導入することによりコンプライアンスを確実に管理したいと考え、当社主導で導入を行いました。
品質環境部 部長 工学博士 有冨菜穂子 様
――10年以上前から電子マニフェストを活用されてきたのですね。
そうですね。2015年からは各工場に「電子マニフェストサービス(GENESYS-ECO)」を紹介して、順次工場での導入を進めました。工場での導入は工場長決裁によるもので、工場単位での導入となります。
1工場はJWNETの電子マニフェストを活用していましたが、「電子マニフェストサービス(GENESYS-ECO)」は、許可証、委託契約書、マニフェストの一元管理ができることを知ってもらい、他の工場と足並みを揃え導入をしました。
――2013年にJEMSの「電子マニフェストサービス(GENESYS-ECO)」を導入される際、他のシステムについても比較検討をされて、導入を決めたのですか。
当時の記録によれば、JEMSともう1社からプレゼンを受けており、以下の観点から
JEMSの「電子マニフェストサービス(GENESYS-ECO)」の導入を決めています。
- 当社としては、システムの導入をメインに考えていたこと。
- JEMSは機能改修に関して柔軟に対応してくれそうであったこと。
- 導入実績に同じ愛知県の大手企業がかなり多くあったこと。
- 導入企業数もJEMSがかなり多かったこと。
3.ミツカングループ全体の廃棄物の管理を集約
――2023年度から、各工場での契約から変更し、Mizkan Partnersがミツカングループ全体の廃棄物の管理を一括して行い、新しくJEMSの「環境マネジメント業務支援サービス」を導入されました。その経緯を教えてください。
まず、電子マニフェストの利便性です。工場や物流拠点では電子マニフェストを導入していましたが、営業拠点では導入していませんでした。マニフェストの枚数が多い営業拠点が3拠点あり、作業ベースで考えると3拠点だけでも先行して導入することで、現場は楽になるのではないかと思いました。ただ、相談していく中で、導入するなら情報集約・情報管理の面から全拠点で導入した方がいいという話しになりました。
次に、社会全体も会社としても環境配慮への取り組みが加速する中、ミツカングループでは廃棄物の総量の把握が年1回の交付等状況報告書でしかできないことが課題でした。
全拠点でのシステム導入により、リアルタイムで各拠点から発生する廃棄物の量が把握でき、効果的な管理が可能になります。もちろん、業務負荷も大きく軽減されます。
品質環境部
品質環境企画室 室長
長尾由佳 様
そして、言い方を変えますと、廃棄物に関するデータを各拠点の管理から、品質環境企画室で全体管理に変更することで環境配慮への取り組みを加速させることにつながります。コストに関しても工場単位で支払っていたものを、全体でまとめて支払えば、コストメリットも生まれます。
――コンプライアンスの面の強化もあったのでしょうか。
そうですね。コンプライアンスの面では、年に1回、品質環境企画室でマニフェストに目を通していましたが、膨大な量です。中には、廃棄物処理法において問題がないか確認が必要なものが見つかることもあり、正しく運用がされる必要があります。
JEMSの「環境マネジメント業務支援サービス」は許可証、委託契約書およびマニフェストの一元管理より、コンプライアンスが飛躍的に高まります。また、一つひとつの確認の手間がなくなり、業務負荷も大幅に軽減されます。
まとめますと、目的は環境への取り組みに力を入れ、持続可能な経営に寄与することです。
片手落ちではなく全拠点の現状把握が必要であること。
全拠点の情報を集約することで環境の課題を把握することができること。
環境への取り組みに力を入れるためには、業務負荷を軽減させる必要があること。
コストも重要な要素であり、一元管理することでコストメリットが生じること。
営業拠点を含めた全社的な廃棄物コンプライアンスを高め、コア業務に集中してもらう必要があること。
以上、目的達成の観点から、ミツカングループの日本国内の7社と営業拠点も含む74の排出拠点にJEMSの「環境マネジメント業務支援サービス」の導入を決めました。
また、ミツカングループでは社員一人ひとりの環境への意識を高め、「環境」を自分事として考える「ミツカンのエコマインド向上企画」を始めています。
――どのような取り組みか教えてください。
廃棄物に関しては、委託先の廃棄物処理場を訪問し、自社の製品が処理されるところを見て学ぶ機会を設けています。JEMSの「環境マネジメント業務支援サービス」導入で、廃棄物についても全社の具体的な数値を明示できるようになりますので、社員一人ひとりの意識向上にも役立てられる面もあると期待しています。
――工場単位での導入からミツカングループ全体での導入となりましたが、改めて導入システムの検討はされましたか。
はい、JEMSを含む3~4社のシステムを比較検討しました。比較検討は、システムの提供企業、システムの特徴、導入実績および乗り換えコストなど複数の観点から行いました。検討の結果、JEMSの「環境マネジメント業務支援サービス」になりました。
4.営業拠点の現状把握とシステム設定の難しさ
――「環境マネジメント業務支援サービス」の導入はスムーズに行えましたか。
先行して電子マニフェストサービス(GENESYS-ECO)を導入している拠点については、全体を管理する意味で、以下の点を変更しました。
ルート(GENESYS-ECOの廃棄物処理フロー)名称の登録については各工場が決めていたものを、全拠点統一したルールでの運用に変更しました。これにともない一部のルート名も変更をしました。
運用面では、今までは各工場で処理委託契約の締結、ルートの登録や変更を行っていましたが、品質環境企画室を通して行うように変更しました。新しいルート登録に関してはコストも発生しますので、コスト管理面でも効果を見込んでいます。
――導入でたいへんだったこと、問題点はありませんでしたか。
たいへんだったことはルート登録で2点ありました。
1点目は、どのルートを登録するかです。本当にこのルートはまだ使うだろうか、このルートだけで足りているか、また、複数の処分場を持っている処分業者の場合、一部の処分場だけでいいのか、といったように。ルート登録はコストとも関連しますので、不要なルートを登録するわけにはいかず、必要となるルートの見極めは悩みどころですね。
2点目は営業拠点の混合廃棄物のルート登録です。混合廃棄物にはプラスチックやガラス、金属などが含まれているのですが、交付等状況報告書では最も含有率が多い廃棄物で報告をしていました。交付等状況報告書を基にルート登録をし、運用を開始したところ、処理業者から「混合廃棄物に含まれている廃棄物のすべてか、混合廃棄物としてマニフェスト発行してほしい。」という要望が多くありました。その修正が本当に大変で、先日ようやく対応が終わったところでした。
品質環境部 品質環境企画室 内藤博行 様
5.データ集約の効率化に加え、コンプライアンス面も強化
――「環境マネジメント業務支援サービス」の導入効果について教えてください。
①業務の効率化とペーパーレス化
まず、シンプルにマニフェストの紙がなくなることが大きいです。ペーパーレス化はもちろん、5年間の保管義務もあることから保管場所のスペースの削除につながります。
次に、7枚複写の用紙ですから、一番下の用紙だと文字がわかりにくいこともあり、担当者に問い合せることも多々ありましたが、その業務もなくなります。
そして、行政への交付等状況報告書の作成作業がなくなります。以前は一つひとつマニフェストのチェックを行っていましたが、大幅な業務効率化につながります。
②コンプライアンス面の強化
許可証、委託契約書およびマニフェストの一元管理ができるので、コンプライアンス面の強化につながっています。また、営業拠点の廃棄物に詳しくない方、専門知識がない方がマニフェストを発行する場合でも、システムで管理されていますので安心して発行できます。
6.環境に関する複数のシステムのデータを集約して活用
――「環境マネジメント業務支援サービス」の今後の活用について教えてください。
当社では「環境マネジメント業務支援サービス」と同時期に、全社の環境データ管理システムとフロン排出管理システムを導入しました。
環境データ管理システムは、以前から導入していましたが、ルールを整えて運用の見直しを行いました。
フロン排出管理システムは、環境への影響を把握するうえで導入しました。フロンは年度内の排出量の合計が1,000t-CO2以上である場合には、大臣に報告する必要があり、基準量の見極めにも活用しています。
環境に関するデータを集約して、国や行政への報告書を作成し、ミツカングループの「環境への取り組み」を毎年まとめるのも品質環境企画室の業務です。各システムのデータ連携に関しては、今後もご相談することがあると思いますので、よろしくお願いします。
――JEMS並びに「環境マネジメント業務支援サービス」に対する期待などがありましたらお聞かせください。
「環境マネジメント業務支援サービス」については、ルート登録の内容を変更する際、改めて登録シートを提出するのではなく、変更する部分だけをお伝えすればいいかたちになると助かります。
JEMSには廃棄物を中心とした環境への取り組みなど、他社の事例や行政の動きなどの情報提供に期待しています。