事例紹介

グループ会社全体における廃棄物処理の法令遵守の徹底と、 廃棄物関連情報の一元管理による業務効率化の実現。

大倉工業株式会社 様

大倉工業株式会社

 

大倉工業株式会社様(以下、大倉工業)は1947 年の創業以来、常に新しい技術に取り組み、今日ではポリオレフィンフィルムや木質建材などの製品から、その要素技術を液晶用光学フィルムへと展開しています。2022年より、JEMSの「環境マネジメント業務支援サービス」を導入した経緯と導入効果について、大倉工業 コーポレートセンター サステナビリティ推進部の、葛岡英一執行役員、近藤美穂部長、山崎淳司課長代理、阿久根康博係長、山前勲生係長、中場宏典様、総務広報部の田辺雅宏部長に詳しくお伺いしました。

 

大倉工業株式会社

本社所在地:香川県丸亀市中津町1515番地

事業内容:各種ポリエチレン製品及びポリプロピレン製品の製造販売、光学機能性フィルム等の製造販売、パーティクルボード及び加工ボード等、加工合板の製造販売 等

従業員数:単独1,042名、連結1,935名(2022年12月31日現在)

ホームページ:https://www.okr-ind.co.jp/

 

1.ISO14001に準拠した環境マネジメントシステム(EMS)を運用

 

──始めに大倉工業の事業内容について教えてください。

 

大倉工業は1947年に創業者、松田正二が従業員の生活を守ること、社会に役に立つことを目的に、戦後復興に欠かせない住宅事業で創業しました。その後、1956年にはポリエチレンフィルムの製造を始めるなど、常に新しい事業に挑戦してきました。今日ではポリオレフィンフィルムや木質建材などの製品から、その要素技術を液晶用光学フィルムへ展開しています。様々な産業・分野へ大倉工業のオリジナル製品はもとより、お客様ごとの要望に応じた多くのオーダーメイドの製品を提供しています。

当社グループは経営ビジョン「Next10(2030)」を推進中です。注力する領域を「生活サポート」「情報電子」「プロセス機能材料」「環境・エネルギー」とし、次の10年に向けたありたい姿として「要素技術を通じて、新たな価値を創造し、お客様から選ばれるソリューションパートナー」の実現を目指しています。それぞれの領域の成長分野・用途へ、要素技術を通じた高い機能性によるお客様価値の向上と、環境貢献を切り口とした社会・環境価値の創出に取り組んでいます。

 

 

執行役員

コーポレートセンター

サステナビリティ推進部長

葛岡英一 様

 

 

──大倉工業における環境への取り組みについて教えてください。

 

2005年頃、コーポレートセンターの中に環境グループを組成し、組織として環境への取り組みを始めました。当時は専任メンバーではなく、総務部や品質保証部など所属部署との兼務でした。そして20081月に環境管理部が発足し、そこから本格的にISO14001の認証取得に向けて、準備を始めました。そして2010年にコーポレートセンターの一部ならびに丸亀蓬莱南地区事業所において、環境マネジメントシステムに関する国際規格ISO14001を取得しました。取得後は、国際規格ISO14001(現在はISO14001:2015)に準拠した環境マネジメントシステム(EMS:Environmental Management System)をグループ全体で運用しています。環境管理規程を定め、各事業所に環境責任者、EMS事務局をおいて環境パフォーマンス向上に取り組んでいます。法律的な面は、環境管理部が主な環境法令の順守事項をチェックシートに落とし込み、各事業所ではこのチェックシートをチェックすることで順守状況を評価しています。また、環境月間(毎年6月)には環境パトロールを実施しています。各事業所の環境担当者が環境管理部の人と一緒に他の工場を回り、廃棄物がどのように管理されているのかなどを確認しています。これは他の工場のよい部分を自工場に取り入れてもらうことも狙った取り組みです。

 

2.情報の一元管理で業務の効率化とサービス活用による廃棄物の適正管理

 

 

コーポレートセンター

サステナビリティ推進部

法務・知財部 兼 環境管理部

部長 近藤美穂 様

 

 

──大倉工業では20224月よりJEMSの「環境マネジメント業務支援サービス」を導入し、活用しています。現在の活用方法についてお聞かせください。

 

「環境マネジメント業務支援サービス」の導入により、廃棄物処理委託先の業許可証、廃棄物処理委託契約書(以下、委託契約書)、そして電子マニフェストの一元管理を行っています。20231月からはグループ会社でも導入しましたので、グループ全体の廃棄物管理が一つのシステムでできるようになりました。

また、廃棄物に関する行政への確認代行サービスを頻繁に利用しています。当社から行政に問い合わせる場合、論点を整理する必要があり、専門的な知識が必要となります。そこをJEMSがやってくれることに加え、回答を法的根拠などとあわせて報告書として提出してくれるのはありがたいですね。その報告内容は廃棄物の適正管理に活用しています。

 

 

 

コーポレートセンター

総務広報部長 田辺雅宏 様

 

 

──「環境マネジメント業務支援サービス」の導入による成果をお聞かせください。

 

事業所やグループ会社の現場では、電子マニフェスト化により、マニフェストの回収、保管および交付等状況報告書の作成が不要になるなどの業務の効率化が図れています。またシステムを見ることで、廃棄物の処理状況や排出量が一目瞭然でわかるなどの評価をもらっています。業許可証、委託契約書もシステムで一元管理できているところも助かっています。JEMSが処理委託先の業許可証の更新・管理を行ってくれますので、有効期限管理の必要がなくなり、業務効率化に加え、コンプライアンスの向上につながっています。

当社にはグループ共通の契約審査システムがあり、各現場が契約書をアップロードすると承認する上長や関係する専門部署に回り、チェックを行うことになっています。ただ、各現場が委託契約書を審査システムにアップすることを忘れる恐れもあり契約審査システムではカバーしきれない部分もありました。「環境マネジメント業務支援サービス」では、適正な委託契約書が締結されていないと排出できない仕組みになっているので、契約審査システムを補ってくれています。

環境管理部では、各事業所、グループ会社からの報告書を集計する業務がありますが、その作業が大幅に効率化できるようになりました。まだ一部の委託業者で電子マニフェストに対応できていないところがありますが、検討を進めてもらっています。

 

 

3.廃棄物の法的リスクを低減する仕組みに賛同

 

 

コーポレートセンター

サステナビリティ推進部

課長代理 山崎淳司 様

 

 

──「環境マネジメント業務支援サービス」を導入する以前、廃棄物管理においてどのような課題があったのですか。

 

 

環境への取り組みでは、ISO14001に基づく環境マネジメントおよび環境パトロールを行っていました。ただ、それだけでは十分とは思えない部分もあり、環境を取り巻く課題も次々と変化していますので、今以上の環境マネジメントを実現できないものかと考えていました。

そんな折りに中国政府の規制により、2018年より中国に対する廃プラスチック(以下、廃プラ)の輸出ができなくなりました。当社もかなりの量を排出していましたので、対応に迫られました。そんなときに東京ビッグサイトで開催された環境展に足を運びました。目的は廃プラの対応に関する情報収集だったのですが、会場を視察しているとたまたま声をかけてきたのがJEMSでした。

 

──環境展で声をかけられたのですね。どのような内容だったですか。

 

「処理業者も貴社以外の排出事業者から今までにない量の廃棄物を受け入れることになります。法令を遵守するサービスで安全に運用を行いませんか。」という声かけでした。要は業許可証、委託契約書との整合をとりながら電子マニフェストを運用することでコンプライアンスの支援をしています、という内容でした。

その頃、当社はまだ電子マニフェストは導入しておりませんでしたが、環境展の視察は廃プラの対応が目的でしたので、参考程度に留めておきました。

その後、環境管理部のメンバーが調べて、依頼したいといってきた会社がJEMSでした。一度、環境展で話を聞いているということから、実際の依頼につながっていきました。たまたま環境展で声をかけられたことが、今日のおつきあいにつながりました。

 

 

 

コーポレートセンター

サステナビリティ推進部

係長 阿久根康博 様

 

 

──JEMSの「環境マネジメント業務支援サービス」を検討する際、他社サービスとの比較検討は行いましたか。

 

JEMSの営業の方が作成した電子マニフェストのASP企業の比較表を見せていただき、参考にしました。その表を見せてくれるときに、「コストを追求するのならJEMSではありません。」といわれたことを記憶しています。

廃棄物の法的リスクを低減させブランドを守るサービスを提供していることを強調されていましたね。

 

 

 

4.コンプライアンスとScope3カテゴリ5の自動算定

──すると「環境マネジメント業務支援サービス」のどのような点を評価されて、導入にいたったのですか。

 

現場ではコンプライアンス面を評価し、環境管理部では情報の集約の効率化面を評価しました。

具体的には、廃棄物を排出し管理する現場では、業許可証、委託契約書と整合がとれたものしか電子マニフェストが交付できないコンプライアンスに特化したサービスであることを評価しています。

また、JEMSが処理委託業者の業許可証の更新・管理を行うこと、委託契約書の管理ができるなどのコンプライアンス面も評価しています。

ただし、難点としては、コンプライアンス面だけだと導入を決定するまでコストメリットが出せませんでした。

一方、環境管理部では、ステークホルダーに対する情報開示のために、現場から廃棄物の排出量の報告をあげてもらい、環境管理部で集約・集計するなどの工数がかかっていました。もちろん現場では、環境管理部に報告するまでに集計に工数がかかっています。

そこで、現場(事業所やグループ会社)での電子マニフェストに移行することによる業務効率化をコストメリットの一つにしました。

また、ちょうどその頃、社内ではCO2排出量(Scope1,2)にScope3の排出量を組み込む必要があるという話が出ていましたが、各所からScope3の各カテゴリの算定は「難しい」などのアラートがあがりました。

「環境マネジメント業務支援サービス」では、Scope3のカテゴリ5を自動算定ができるので、コストメリットの面でもクリアし202112月に導入することになりました。

 

 

コーポレートセンター

サステナビリティ推進部

環境管理部 気候変動対策課

兼 環境管理課

係長 山前勲生 様

 

 

──JEMSの「環境マネジメント業務支援サービス」の導入はスムーズに行えましたか。

 

1次フェーズとして大倉工業本体への導入を行い、20224月より稼働しました。グループ会社への導入は2次フェーズとして実施し、20231月より稼働しています。

 

トラブルというほどではありませんが、反省点としては、グループ会社への導入の際、最初の意識付けが少し弱く、紙のマニフェストが一部残ってしまったことがあげられます。1次フェーズではオンラインでJEMSに説明会を実施してもらいました。2次フェーズではその説明会の録画データを使用したため、セレモニーとして弱くなってしまい、強い意識付けにならなかったのではないかと考えています。トラブルではありませんが、せっかく稼働した「環境マネジメント業務支援サービス」を活用できていない点は非常にもったいないと感じています。現在、電子マニフェストへの移行を進めるように再度働き掛けて、取り組んでもらっています。

 

 

5.環境に関する幅広い提案やアドバイスに期待

 

 

コーポレートセンター

サステナビリティ推進部

環境管理部 環境管理課

中場宏典 様

 

 

──JEMSの「環境マネジメント業務支援サービス」への評価をお願いします。

 

「環境マネジメント業務支援サービス」の導入で、廃棄物コンプライアンス管理を仕組み化すること、そして環境データの集約と一元管理ができる体制ができました。今後、Scope12の算出に加え、Scope3の排出量を高い精度で算出し、サプライチェーン全体としてCO2排出量削減に取り組むという当社環境方針にも役立っていけるものと期待しています。

 

 

 

 

─最後に、今後の大倉工業の環境マネジメントに関する展望、JEMSに対するリクエストなどがありましたらお聞かせください。

 

基本まずはリサイクルです。例えば廃プラは可能な限り社内でリサイクルを行います。外部に委託せざるを得ないものは、最適なやり方での処理を行うようにしています。また、ポストコンシューマー材料を回収してのリサイクル事業にも取り組んでいます。

JEMSには「環境マネジメント業務支援サービス」に留まらず、産業廃棄物の処理および処理業者の最適な選定や自治体が実施する立ち入り検査における各自治体の検査内容の違いに対しての適切な対応など環境に関する幅広い提案やアドバイスに期待しています。

 

JEMS環境マネジメント事業について

長年注力してきた環境マネジメントシステムは、JEMSの環境マネジメント業務支援サービスで次のステージへ ミツカングループ国内7社と74排出拠点すべての廃棄物管理を 「環境マネジメント業務支援サービス」の導入で集約。 業務の効率化とコンプライアンス強化を実現。 「環境マネジメント業務支援サービス」の導入により、堀場グループ全拠点の廃棄物管理状況の「はかる」を実現。堀場グループの環境課題を解決する。 グループ会社全体における廃棄物処理の法令遵守の徹底と、 廃棄物関連情報の一元管理による業務効率化の実現。 複数の廃棄物管理DBを集約。管理業務の属人化から脱却し、コンプライアンス強化を実現 全国1500事業所の廃棄物管理を本社で一元化。「遵法」と事業所負担なく「電子マニフェスト化」を両立 全社統一の仕組みで廃棄物の処理フローを可視化 産業廃棄物管理の適正化を実現

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